研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
23120011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
疋田 貴俊 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70421378)
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研究分担者 |
中西 重忠 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 所長 (20089105)
矢和多 智 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (90455246)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大脳基底核 / 報酬行動 / 忌避行動 / 意思決定 / 神経回路 / 柔軟性 / 可塑性 |
研究実績の概要 |
可逆的神経伝達阻止法を用いて、報酬行動とその柔軟性における神経回路機構を調べた。十字迷路を用いた報酬学習課題では、大脳基底核の直接路遮断が報酬学習に影響するのに対して、間接路遮断は逆転学習課題にのみ影響を与え、初期課題への固執が見られた。この結果から、報酬学習には直接路の神経伝達が、学習の柔軟性には間接路の神経伝達がそれぞれ必須であることを示した。次に、片側の大脳基底核神経回路に可逆的神経伝達阻止法を導入して、直接路あるいは間接路を遮断し、さらに反対側に神経伝達物質受容体のアゴニストあるいはアンタゴニストを投与した後に、行動観察を行うことによって、報酬・忌避行動における大脳基底核神経回路制御の分子機構を解析した。その結果、報酬行動には直接路D1ドーパミン受容体の活性化が、忌避行動および学習柔軟性には間接路D2受容体の不活性化が、それぞれ重要であることを示した。さらに忌避行動には間接路のシナプス可塑性に関与する神経伝達物質受容体(NMDA, A2a, CB1各受容体)の関与が認められた。これらの結果から、報酬・忌避行動において、直接路と間接路の情報伝達効率の可塑性によるスイッチングが、大脳基底核神経回路制御機構として働いていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
可逆的神経伝達阻止法によって、報酬・忌避行動とその柔軟性における神経回路機構を明らかにすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
特定脳部位の神経活動制御を試みることによって、報酬・忌避の意志決定の神経回路機構を探る。
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