研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
23136102
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (30243041)
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研究分担者 |
新島 聡 京都大学, 薬学研究科, 助教 (30456834)
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キーワード | 生体生命情報学 / 薬剤反応性 / モデル化 / 薬物動態 / 分子間相互作用 |
研究概要 |
研究代表者の山下は、既に開発した薬物代謝酵素に関するテキストマイニングシステムに対して、辞書データベースの見直しとルールベースの拡充を図ることによって、化合物と核内受容体との相互作用に関する情報を抽出できるシステムを開発した。CYP3A4等の誘導に関与するPregnane X Receptor(PXR)を例にとり、このプロトタイプの性能を評価したところ、精度および再現率ともに約90%という高い値が得られた。この抽出結果に加え、Pub Chem Bioassayデータベース等で公開されている情報とを合わせて構造活性相関解析を行ったところ、分子の電気的性質とりわけπ-π結合に関与するパラメータが化合物とPXRとの相互作用に重要であることを明らかにした。一方、分担者の新島は既に開発した新規な化合物-タンパク質間相互作用予測法であるCGBVS(Chemical Genomics-based Virtual Screening)を用いて、核内受容体のリガンド予測を網羅的に行った。31種類の核内受容体および、約10万化合物間の既知相互作用情報をもとに学習モデルを構築し、交差検証によって予測性能を評価した結果、94.8%という高い予測精度を得ることに成功した。また、研究代表者の山下は、多階層生体システムにおける薬物動態モデルの開発にも着手し始めた。具体的には、rifampicinの臨床血中濃度データを、グリアランス理論に基づいた薬物速度論モデルにより解析し、AO1グループが現在、開発を進めているPhysioDesigner上でシミュレーションできることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小分子動態関連分子の発現調節に関する核内受容体を例に、化合物と生体分子間の相互作用に対する情報収集および解析のためのツール開発が着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
小分子と核内受容体との相互作用に関してさらなる情報収集を行うとともに、その相互作用様式に関する解析を推進する。また、化合物を作用させたときの代謝酵素などの発現変動を、mRNAやタンパク質のレベルで評価するとともに、その動的特性をシミュレーションできるモデルを開発し、これをAO1グループと連携してPhysio Designer上に再現する。
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