研究領域 | 老化時計リバイバル機構の解明 -老化研究における新たなパラダイムシフト |
研究課題/領域番号 |
23H03835
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
城村 由和 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (40616322)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 個体老化 / 細胞老化 / 一細胞遺伝子発現解析 / 細胞周期 / マルチオミクス |
研究実績の概要 |
本研究では、老化細胞の正常細胞状態への若返り『老化細胞リバイバル』の可能性を検証することを目的とした。さらに、マルチオミクス解析を行うことで、老化細胞リバイバルの鍵となるエピゲノム情報を中心にした基本原理を明らかにすることで、『山中因子』を用いることなく『老化細胞リバイバル』を可能にする効果的かつ安全な健康寿命延伸法の分子基盤を構築する。また、『老化細胞リバイバル』が、その他の個体老化の主要な成因である組織再生能の低下・組織線維化に与える影響を解析することで、個体老化における老化細胞の役割について統合的な理解を目指す。 本年度は、老化細胞のマルチオミクス解析のためのプラットフォームを構築するために、野生型マウス由来の胎児線維芽細胞の細胞老化過程における経時的な『トランスクリプトーム・DNAメチローム』 (A01~A03間の連携) 、 及び『プロテオーム・メタボローム・リピドーム・グライコーム』(A04との連携)の解析を行った。その結果、興味深いことに、がん抑制因子pRbファミリーによって制御される細胞周期関連因子の発現は老化誘導後4日がもっとも発現が抑制されており、誘導後12日においては、部分的に発現抑制が解除されることを見出した。一方、そのような変化を示した因子群は、タンパク質レベルでは恒常的に発現が抑制されていることがプロテオーム解析から明らかになった。これらの結果は、老化細胞のもっとも重要な特性の一つである不可逆的な細胞周期停止は転写レベルだけではなく、転写後制御や翻訳制御が常陽な役割を担っている可能性を強く示唆している。また、また、その他のオミクス解析からもこれまで報告がないデータも得られており、来年度以降に詳細な解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化細胞のマルチオミクス解析のためのプラットフォームを構築を目指し、トラスクリプトーム・プロテオーム解析データの統合から興味深い知見が得られたが、他のオミクス解析データの統合については解析が完了しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、トラスクリプトーム・プロテオーム解析データに加えて、他のオミクス解析データを統合することで、多階層マルチオミクス解析のプラットフォームを構築する。さらに、構築したプラットフォームを活用して、老化細胞の若返り過程の分子機構の解析を進める。
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