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2023 年度 実績報告書

「態度適合理論/分析」に基づいて「尊厳」を「絶対的価値」として分析すること

計画研究

研究領域尊厳学の確立:尊厳概念に基づく社会統合の学際的パラダイムの構築に向けて
研究課題/領域番号 23H04849
研究機関北九州市立大学

研究代表者

高木 駿  北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (90843863)

研究分担者 岩佐 宣明  愛知学院大学, 教養部, 教授 (00534356)
品川 哲彦  関西大学, 文学部, 教授 (90226134)
青田 麻未  群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (90963330)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード尊厳 / 哲学 / 美学 / ジェンダー論 / 倫理学 / 価値論
研究実績の概要

本研究の最終的な目的は、「価値の態度適合理論Fitting Attitude Theory of Value」を、感情、自然・環境、生命、文化、ジェンダー、セクシャリティの観点から改良・使用することで、多元的で多様な現代社会に対応した尊厳概念を「絶対的価値」として正当化し、新たなモデルを築くことである。これにより、尊厳概念に多元化・多様化・拡張化を強く求める社会の要請に十分に応答可能な概念を「尊厳学」の確立の基盤として提供する。
2023年度は、7月、9月、3月に計3回、ワークショップないしシンポジウムを開催した。第一回目では、本班が用いる「価値の態度適合理論」と尊厳概念との関係、そしてその理論をめぐる諸問題をG. シェーンリッヒの論文(Kant’s Theory of Dignity: A Fitting-Attitude Analysis of a Value, in Kant’s Concept of Dignity)を頼りに外観した。第二回目では、環境および非人間的存在と価値概念との関係を現代哲学の視座から改めて吟味しなおすことで、価値概念を人間以外のものへと拡張できる可能性を検討した。第三回では、再びシェーンリッヒの論文を主題とし、「価値の態度適合理論」の問題をいかにしてクリアすればよいのか、その方向性を議論し、態度を支える理由の概念に定位する方法か、適切さの概念に定位する方法か、いずれかの方法が有効であるかもしれないという見通しを得ることができた。また、関連する業績として、おのおのの所属学会などにて論文5報、発表6回を公開することができ、客観的業績についても申し分なかったと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述したワークショップおよびシンポジウムの開催を通じて、また、班内でのやりとりを通じて、本研究の目的を遂行する次なる具体的課題(「今後の研究の推進方策」に記載)を析出することができた。また、繰り返しになるが、客観的業績の発表についても十分な質と量で行うことができていると考える。ただし、期待以上の進捗があったかと言われれば、計画通りとしか言えないので、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

2024年度は、2023年度の活動を踏まえて、人間以外をも対象とする「価値の態度適合理論」の構築を課題とする。より具体的に言えば、態度という概念を(戸田山和久などが知識ないし認識の概念に対して行っているように)自然化し、人間以外の意識を持たない存在者にまで拡張することで、それぞれの存在が態度を持ち、それゆえに価値を享受していることを明らかにする。そのうえで、その理論モデルにおいて尊厳が絶対的価値を持ちえるのか、それが可能であるとしたら、そのことにいかなる意味があるのかを明らかにすることを目指す。また、2023年度と同様に、定期的にワークショップやシンポジウムを開催し、外部の知見をも導入するとともに、研究のネットワークづくりにも注力する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 絶対的価値としての尊厳概念の探究――価値の態度適合理論からのアプローチとその問題2024

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      北九州市立大学基盤教育センター紀要

      巻: 42 ページ: -

  • [雑誌論文] いかにして価値は誤りえるのか?――カントの知覚概念に基づく試論、価値の自然化へ向けて2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      科学研究費最終報告書「20 世紀初頭価値哲学の反自然主義――現代価値論の再考のために」

      巻: 1 ページ: -

  • [雑誌論文] 家父長制、セクシズム、ミソジニー――トランスの女性の包摂2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 雑誌名

      北九州市立大学基盤教育センター紀要

      巻: 41 ページ: -

  • [雑誌論文] 環境正義と倫理学的思考 : 「持続開発可能性と人文科学」へのひとつの応答2023

    • 著者名/発表者名
      品川哲彦
    • 雑誌名

      關西大學文學論集

      巻: 73 ページ: A77~A100

    • DOI

      10.32286/0002000474

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 連載 作業療法を深める・第81回 ケアの倫理とは,どういう思想か2023

    • 著者名/発表者名
      品川哲彦
    • 雑誌名

      作業療法ジャーナル

      巻: 57 ページ: 1063~1067

    • DOI

      10.11477/mf.5001203511

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 連載 作業療法を深める・第82回 医療・看護・介護とケアの倫理2023

    • 著者名/発表者名
      品川哲彦
    • 雑誌名

      作業療法ジャーナル

      巻: 57 ページ: 1162~1165

    • DOI

      10.11477/mf.5001203542

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 自律概念を自然化する――「価値の態度適合理論」を拡張するために2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      第 5 回尊厳学フォーラム
  • [学会発表] 女性の尊厳を守るには? 哲学的に考えてみる2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      ダイバーシティを推進するための人権講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 絶対的価値としての尊厳概念――価値の態度適合理論によるアプローチの検討2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      第 2回尊厳学フォーラム
  • [学会発表] 「尊厳の崇高論」への批判と応答―道徳法則の価値的基礎づけと感情の問題2023

    • 著者名/発表者名
      高木駿
    • 学会等名
      第 206 回 Phileth セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] コギトとデカルトの循環2023

    • 著者名/発表者名
      岩佐宣明
    • 学会等名
      第 82 回日本哲学会大会
  • [学会発表] 環境の美的価値は どのように語られてきたか態度適合理論のレンズ を通してみる2023

    • 著者名/発表者名
      青田麻未
    • 学会等名
      第 5 回尊厳学フォーラム
  • [図書] 問いとしての尊厳概念2024

    • 著者名/発表者名
      加藤 泰史
    • 総ページ数
      574
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      978-4-588-15137-8

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公開日: 2024-12-25  

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