研究領域 | 尊厳学の確立:尊厳概念に基づく社会統合の学際的パラダイムの構築に向けて |
研究課題/領域番号 |
23H04852
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
納富 信留 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50294848)
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研究分担者 |
中島 隆博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20237267)
上原 麻有子 京都大学, 文学研究科, 教授 (40465373)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 尊厳 / 世界哲学 / 女性哲学者 / 哲学史 / 日本哲学 / 中国哲学 / 東アジア哲学 |
研究実績の概要 |
本研究は「尊厳」概念を位置づけるための基礎となる「哲学」のあり方を「世界哲学・世界哲学史」として構築することを目指し、2023年度は、従来の「哲学・哲学史」を再検討しつつ「尊厳」を世界的に位置づけるための基盤的考察を行った。 7月1日に大正大学で開催された比較思想学会50周年記念シンポジウム「比較哲学と世界哲学」で中島隆博と納富信留が世界哲学の発表を行い、その機会に登壇者ブラット・デービス、上原麻有子と研究方針会議を開いた。5月27-30日に東京大学文学部を会場に、FISP(The International Federation of Philosophical Societies、哲学系諸学会国際連合)運営委員会に合わせて開催した国際シンポジウム「世界哲学と世界の危機World Philosophy and World Crises」で、納富と上原が世界哲学・日本哲学について研究発表を行った。また、8月23日にCIPSH(The International Council for Philosophy and Human Sciences: 国際哲学人文科学会議)総会に合わせた国際公開シンポジウム(東京大学文学部)で、中島が「世界哲学」について基調講演を行った。9月11-12日に東北大学で開催された第7回日中哲学フォーラムでは、納富、中島、上原がそれぞれ「世界哲学」について研究報告を行った。 12月14-16日にドイツ・ヒルデスハイム大学で「世界哲学・世界哲学史」をテーマにした国際ワークショップをハイブリッド開催し、日本からは上原らが現地参加し、納富と中島はオンラインで研究発表・議論を行った。それを受けて、3月25-26日に東京大学文学部でヒルデスハイム大学の研究者を招いて第2回国際ワークショップを開催し、納富が「世界哲学」について基調報告を行い、中島、上原、参加者とアフリカ哲学、フェミニズム、人種差別の哲学などの「尊厳」に関わる重要テーマを議論した。 これらをつうじて「世界哲学・世界哲学史」の理念を海外の研究者たちと一緒に練り上げ、「尊厳」哲学の準備がなされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画していた研究発表・成果発表を、ほぼ予定通りに実施した。日本国内で開催された国際学会では、「比較思想学会50周年記念シンポジウム:比較哲学と世界哲学」(セッションは英語で行われた)、FISP(The International Federation of Philosophical Societies、哲学系諸学会国際連合)の国際シンポジウム「世界哲学と世界の危機World Philosophy and World Crises」、CIPSH(The International Council for Philosophy and Human Sciences: 国際哲学人文科学会議)国際公開シンポジウム(東京大学文学部)、第7回日中哲学フォーラムという重要な機会に、研究発表で国内外の研究者と議論することができた。 国外では、ドイツ・ヒルデスハイム大学での国際ワークショップ開催し、東京大学文学部でヒルデスハイム大学の研究者を招いて第2回国際ワークショップを開催した。その機会にも多くの研究者や学生が参加して「世界哲学」の可能性について議論することができた。 出版物としては、納富信留『世界哲学のすすめ』(ちくま新書)をはじめ、専門論文・一般書の両方で成果を広く発信している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、まず「世界哲学・世界哲学史」を日本国内だけでなく、東アジアや世界で具体的に展開することを目指していく。具体的には、2024年8月にイタリア・ローマ(サピエンツァ大学)で開催される世界哲学会議(WCP 2024)に参加し、そこで日本初のプロジェクトとして「世界哲学」を宣伝し、その中で「尊厳」を研究する国際尊厳学を位置付けつつ、海外の研究者と検討を進めていく。世界哲学会議に参加する哲学研究者との繋がりから、特に中国・台湾・韓国など東アジアとの連携を図っていく。 世界哲学において一つの重要テーマとなる「ジェンダーと哲学」の問題については、哲学史における女性哲学者の役割とそれに関わる問題を検討し、尊厳学の一部として発信していく。
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