計画研究
本年度は、以下の3点を検討した。1)擬複合糖質の効率的合成のため、「光エネルギーによって駆動される触媒を利用したラジカル反応」によるC-グリコシド結合形成反応の開発に取り組んだ。これまでにsp2-sp3炭素間のカップリングによる擬複合糖質合成を検討し、α選択的な手法について一部論文発表した。さらに、広範な擬複合糖質創製に向けてβ-C-グリコシド結合構築法の最適化を進めた。その中で、ある種の擬糖脂質合成の鍵となるβ-C-グリコシド結合構築法の最適化に成功した。その際、鍵となったのはラジカル発生時に用いるXAT試薬の選択であった。今後、この反応を起点として、擬複合糖質合成を達成し、生物活性・機能評価を進めたい。また、擬多糖構造創製にはsp3-sp3カップリングによるC-グリコシド結合形成が重要である。その前段階の基質合成にも、「光エネルギーによって駆動される触媒を利用したラジカル反応」を使用することを考えいくつか検討した。その結果、新規アノマー位アシル化反応を見出した。2)無保護糖を用いたC-グリコシド結合形成反応を検討し、スルフィネートを原料とする手法を開発し、論文発表した。また、大宮グループと連携し、新たなO-グリコシド形成反応の開発にも取り組んだ。初期検討の結果、プロミッシングな結果を得たので、次年度さらに検討する予定である。3)sp3炭素リッチな天然物様構造構築の検討を開始する。天然物に見られる特徴的な構造を参考に、新たな糖ーアミノ酸ハイブリット骨格を設計した。その合成に向けて種々検討したが、鍵となる2環性構造の構築を実現できなかった。現在、改良法を模索中であり、次年度も引き続き検討する。
2: おおむね順調に進展している
計画したものの大半は計画どおり進んでおり、論文発表に至っている。また、次年度につながる重要な知見を得ることにも成功しており、概ね順調といえる。
次年度も計画どおり進める。大宮グループとの共創研究に関して、積極的に進めていく。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1027/