研究領域 | 細胞外情報を統御するマルチモーダルECM |
研究課題/領域番号 |
23H04929
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
山城 義人 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70751923)
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研究分担者 |
出口 真次 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (30379713)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 細胞外マトリクス / ECMダイナミクス / ストレス応答 / 内皮間葉転換 / ライブイメージング / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
生体は、損傷やストレスに対して細胞や組織を適応(リモデリング)することで恒常性を維持する。この組織リモデリングの過程では、細胞に加えて細胞外マトリクス(ECM)の分子組成や物性もダイナミックに変化すると考えられるが、その実態や機能は殆ど不明である。本研究では、血管リモデリングにおけるECMの分泌・作用・分解のターンオーバー(ECMダイナミクス)とその細胞への作用機序を明らかにし、ECMが駆動する血管リモデリングの原理に迫る。近年、血管内皮細胞が間葉系細胞へと移行する可塑性の内皮間葉転換(EndMT)が病態発症の起点となることが数多く報告されている。しかし、その変遷や制御機構については不明な部分が多い。そこで、血管リモデリングにおけるEndMTの変遷を時空間解析し、セクレトーム解析、バイオメカニクスデータと統合し、EndMT誘導に関与するECMダイナミクスを1細胞レベルで可視化・4D計測による定量化を行う。また、治療介入点となりうるPartial EndMT(可逆性の初期状態)を同定するため、ECMダイナミクスと遺伝子発現・形態変化の変遷を予測する数理モデルを構築し、マウスの病態モデルを用いて検証を行う。以上より、ECMが駆動する血管リモデリングの“未知なる制御機構”を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒト初代培養細胞株を用いて、大動脈血管内皮細胞の低酸素環境での応答を解析した。低酸素刺激で分泌されるECMを同定し、蛍光プローブを作成後、ライブイメージングでの動態観察にも成功している。また、時空間トランスクリプトーム解析の手法を確立し、低酸素環境での遺伝子発現の変遷を可視化することに成功している。研究計画を大幅に上回って進展している。
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今後の研究の推進方策 |
バイオメカニクス特性の計測が実施できていないため、分担者と協力しながら推進する。また、デザイナーマトリクスの作製や数理モデルへの変換も、領域内で連携しながら遂行する。同定したECMのコンディショナルKOマウスを作成中であるため、次年度は作製したマウスを用いて病態評価も行う。
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