今後の研究の推進方策 |
1.PSI/II超複合体の構造解析 -- 真核藻類のうち系統的に重要な緑藻を中心にPSI-LHCI/PSII-LHCII超複合体標品の分画手法を確立し、構造解析までを行う。すでに確立しているホウレンソウ、緑藻クラミドモナスの手法を標準として、非モデル植物・藻類へ技術展開する。特に冬季の裸子植物の葉はポリフェノールや多糖類の蓄積がPSII-LHCII超複合体の単離を妨害するので詳細な条件検討を行う。これまでに手法を確立したOstreococcus tauri, Mesostigma virideに加え、今後は以下の生物種もターゲットとする--Prasinoderma coloniale, Marchantia polymorpha, Physcomitrium patens, Chlorella ohadii, Taxus cuspidata, Abies sachalinensis, Euonymus fortunei 2.PSI/II超複合体の機能解析 -- 各生物種の超複合体の集光機能特性およびステート遷移機能の解析を行う。 集光機能解析--集光アンテナサブユニット結合力解析、超複合体の物理アンテナ/機能アンテナサイズ、結合色素種、色素量解析、エネルギー移動モデル解析; ステート遷移解析--低温蛍光スペクトル法、PAM法、リン酸化Western blotting法、超複合体構造解析(電顕負染色単粒子解析)、色素組成解析(HPLC)、蛍光誘導キネティクス解析(蛍光収率解析) 3.常緑植物の環境適応--常緑植物が冬季の低温に適応するためには、光化学系IIのアンテナにおける熱放散の調節が重要と思われる。これに関与するタンパク質の精製と機能解析を進める。
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