研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101006
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, その他の研究科, 准教授 (20303919)
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研究分担者 |
姉崎 智子 群馬県立自然史博物館, その他部局等, 研究員 (50379012)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 定住 / 先土器新石器時代 / 西アジア / 動物遺存体 / 家畜化 / 魚骨 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
牧畜は、西アジア文明社会の基盤となった重要な生業であり、本研究は家畜飼育の始まりと技術的展開の過程を探ることを目的としている。 26年度は、6月に新学術領域の全体シンポジウム 「現代文明の基層としての古代西アジア文明『西アジア文明学の創出1:今なぜ古代西アジア文明なのか?』」 の一部として「交換資源としての家畜の生産」と題するセッションを企画し、ドイツ・チュービンゲン大学のHans-Peter Uerpmann, Margarethe Uerpmann両氏を招聘した。 25年度に引き続き、チグリス川上流の先土器新石器時代A期の遺跡であるハサンケイフ・ホユック(紀元前9500年)の調査を実施した。発掘調査の進展とともに、遺跡の居住当初の野生動物資源利用が、長期の定住に伴って変化したかどうかの評価を加えることができる見込みである。遺跡から出土する人骨に含まれる安定同位体分析による食性分析のための基礎データとするため、食料として利用された動物の骨のサンプリングを行った。 魚骨の同定分析により、コイ科の2種の淡水魚が出土した魚骨の大部分を占めていることがわかった(ベルギー王立博物館、Wim van Neer氏の分析による)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発掘調査は順調に継続している。ダムが完成し、今年度が最終調査の可能性もあるが、出土した動物遺存体資料は現地のバットマン大学または考古博物館に保管されることになっており、分析を継続することが可能である。また、周辺地域の同時代の遺跡から出土した資料の分析に着手している海外の研究者と連絡をとっており、今後データの比較検討が可能になる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
27年度の予定は 6月 国際学会(国際考古動物学会西アジア分科会、オランダ)で研究の途中経過報告を行う予定。 8月~9月 発掘調査期間中に、代表者および研究協力者1名によるデータ収集を行う。とくに遺跡の下層と上層で動物利用に変化が見られるかどうかを検討する。周辺の先土器新石器時代A期の遺跡の出土動物骨分析を行っている研究者と、現地および国際学会で議論し、情報交換を行う。 3月 データ収集を進める予定である。家畜化から牧畜の発達、遊牧の開始という過程を詳細に追うため、ヨルダンの先土器新石器時代B期の遺跡から出土した動物骨の分析を新たに行う。
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