研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101007
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (30323223)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | アッシリア学 / 楔形文字文書 / 文献学 / 歴史学 |
研究実績の概要 |
ユーフラテス中流域およびハブル流域の複数の遺跡から出土する前2千年紀の楔形文字文書史料を広く視野に収め、当該地域の歴史と文化を包括的に研究することが本研究の中心的課題である。特に書記教育、書記伝統、暦、祭儀、法社会、行政等をテーマとした一連の研究と研究会を通して、この課題に取り組んでいる。今年度は、研究の過程で、より広い時空間を視野に収めての研究が必要となってきたことに鑑みて、アッシリ帝国の当該地域を含む広域支配をテーマとし、新学術領域の他の計画研究班とも連携し、日本・フィンランド2国間共同セミナー」支援経費も得て、国際会議(“Interaction, Interplay and Combined Use of Different Sources in Neo-Assyrian Studies: Monumental Texts and Archival Sources”)をつくば市において3日間開催した。研究会には、イギリス、ドイツ、オーストリア、フィンランド、アメリカ合衆国、日本から16人の研究者が集まり、研究発表と質疑応答を行った。発表された論文は、論文集としてState Archive of Assyria Studiesシリーズ(フィンランド、Neo-Assyrian Text Corpus Project)から研究代表者を編集者の一人として出版すべく準備中である(2016年秋出版予定)。 前2千年紀に関しては、昨年度実施した書記伝統と書記教育に関する国際会議の論文集の準備を進めたほか、テル・タバン文書、テルカ文書に関する研究を推進し、複数の研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己のテル・タバン文書の研究、新アッシリア研究、ならびに研究会議の実施は順調に進んでおり、研究成果も、現在のところ多いとは言えないものの、継続的に発信できている。また、第2回目の研究会を新アッシリア帝国をテーマに実施し、研究の射程をより広い時間的・空間的射程から見直すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、前2千年紀のユーフラテス川とハブル川の文化を特に暦と祭儀に注目して検討する国際会議を開催する。来年度(最終年度)には、これまでに実施した複数の国際会議の成果を含む、合計3冊のモノグラフ(論文集)の出版を完成させる。同時に、テル・タバン文書の解読と研究もさらに継続し、その最終的な出版に向けての準備を確実に進めたい。
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