計画研究
採択後、イスラエル国テルアビブ大学のYoram Cohen博士と日程調整を行い、次年度に実施する共同研究会の日取りを決定した。これにより、2013年12月に国内の研究協力者を交え、本研究の目的②および③(下記)をテーマとする国際研究ワークショップを開催することになり、目的の達成に向けて好著なスタートを切ることができた。② エマルに前14 世紀にさかのぼる第一王朝と前13 世紀から前12 世紀初頭にかけての第二王朝が存在したというA. Skaist の学説を批判的に再検討し、エマル市の政治史を解明する。③ 王家と長老会に代表されるシリア型とM1 神殿を拠点とするシリア・ヒッタイト型という2つの書記伝統が時代的に前後するというY. Cohen とL. d’Alfonso の学説を見直し、エマル市における文字言語文化と宗教の実態を解明する。一次資料を確認・照合する目的で、池田(研究代表者)と山田(研究協力者)がシリアでエマル文書の粘土板を調査する予定だったが、内線により治安が非常に悪かったため、代わりに永井(研究協力者)がトルコとエジプトの博物館所蔵の文字資料を調査したが、一次資料の確認・照合に係る当初の計画に遅れが出ている。本計画研究の遂行に必要となるパソコンや図書を購入し、その多くを西アジア文明研究センターに開架し、共益に付した。調査資料の整理やデータ入力のために大学院生等を雇用した。山田(研究協力者)がフランスで、永井(研究協力者)がドイツで今年度の研究成果を発表し、国際的な活動にも努めた。
3: やや遅れている
シリアの治安が悪く、粘土板の調査が全くできないため、研究の進捗はやや遅れている。それ以外の面では、次年度に海外の研究者と実施する共同研究会の日取りが決まり、山田(研究協力者)がフランスで、永井(研究協力者)がドイツで今年度の研究成果を発表するなど、順調に進んでいると言える。
シリアの治安が改善する見込みがたたないため、シリアでの粘土板調査を主体とした研究から、よりデジタル資料を活用したDigital Humanities的手法へのシフトが必要となる。今年度は、それに向けた基礎研究を永井・高橋(研究協力者)と協力して推進する。
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Revue d’assyriology et d’archeologie orientale
巻: 105 ページ: 199-220
『オリエント』
巻: 54/1 ページ: 2-21
『文藝言語研究』(言語篇)
巻: 62 ページ: 53-74
人文科学とコンピュータシンポジウム論文集:つながるデジタルアーカイブ-分野・組織・地域を越えて-
巻: Vol. 2012, No. 9 ページ: 225-230
巻: 63 ページ: 53-67