研究概要 |
2013年12月7日にEmar Workshop 2013を開催し、「エマル文書の年代学的枠組み」をテーマとして2名の研究協力者が次の研究発表を行った。 Masamichi Yamada (中央大学), The Emar Texts: Their Chronological Framework and Historical Implications Yoram Cohen (テルアビブ大学), Problems in the History and Chronology of Emar シリアの遺跡メスケネ(古代名エマル)で出土したアッカド語文書中、多数を占めるのは、各種契約書を主体とする法的文書である。これらはその形状、書法、書式および登場人物の系統の相違から、現地伝統的なシリア型と外来の影響を受けたシリア・ヒッタイト型の2種類に分類される。これら文書の年代に関しては、どちらも前13-12世紀初期とする理解が従来一般的であったが、シリア型を前1380-1250年頃、シリア・ヒッタイト型を前1275-1175年頃とす説が最近提出された。この一大論争を批判的に検討するのがワークショップの目的であった。 Yamadaが新しい説に批判的な立場から、Cohenが新しい説を指示する立場から発表を行い、フロアも巻き込んだ論戦となった。最終的な決着は着かなかったが、古代オリエント世界に2つの書記伝統が併存した例がないという指摘は重く、Cohenを論破するにはこの点を覆す必要があることが明らかとなった。
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