研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
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研究分担者 |
河合 望 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (00460056)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 宗教政策 / 政治的神学 / 政教一致 / 政教分離 / 西アジア / メソポタミア / エジプト / イスラーム |
研究概要 |
本年度に実施した研究活動はつぎの三部に分けられる。(1)古代メソポタミアにおける「政教」研究、(2)古代エジプトとの比較研究、(3)マクロな西アジア史全体における「政教」研究の根本的な問い直し。(1)は柴田が実施。主な成果として、前一千年紀バビロニア文書の語彙分析に基づいたバイリンガリズムと政治神学に関する研究、前二千年紀後半アッシリア行政記録の分析による王家結婚戦略ならびに地方官僚教育に関する研究など。これら研究のため柴田が8月ハイデルベルク大学に滞在。成果の一部は7月3~5日と12月5~6日の国際学会における口頭発表、査読誌論文・ブックチャプターとして公開。(2)は河合が担当。特筆すべき活動は、12月末から2014年1月にかけて実施した宗教都市テーベの「政治」と「宗教」の調査、2~3月に実施したカルナク神殿におけるツタンカーメン王の建築活動と石碑記録調査(フランス国立科学研究センター主催の国際共同研究)など。成果の一部を10月19日オリエント学会公開講演、著書『ラメセス二世』などにまとめた。(3)は全研究メンバーが共同で実施。研究は、ワークショップ・シンポジウム(6月21日、7月26日、3月9日)を軸に行われた。7月26日開催のシンポジウム「西アジア・北東アフリカ史における「政治」と「宗教」再考」では、ライシテ研究者(伊達聖伸)が「政治」対「宗教」という近代ヨーロッパ的な二項対立を批判的に検討し、また今後の研究可能性について論じたうえで、エジプト史古代(河合)・中世(中町信孝)・近現代(鈴木恵美)の専門家がそれぞれの研究状況の批判的総括と研究可能性を発表することにより、問題設定の根本的な見直しを図った。3月9日のワークショップでは羽田正を発表者として招き、よりマクロな世界史の中で「西アジア史」をどのように位置付けることができるか、いかなる可能性を持ち得るか討論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各分野の専門家と連携をとって研究を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
古代研究とマクロな西アジア史研究を二つの軸として研究を進め、最終的には古代研究の成果をマクロな西アジア史研究の中に組み入れる。本年度も各分野の専門家と連携してすすめる学際的なワークショップ・シンポジウムを中心に研究をすすめ、この過程で問題の所在と研究方法(特に分析のためのコンセプト)をより明確にし、チーム内で共有する。これによって、来年度・再来年度に取り組む最終的な研究成果の整理を準備する。 上の計画を可能にするため、中町信孝(西アジア中世史)、長谷川修一(古代イスラエル史・旧約聖書学)、津本英利(西アジア考古学)を研究分担者に加える。伊達聖伸(近現代フランスライシテ研究)と鈴木恵美(近現代西アジア史)も引き続き連携研究者として参画する。全体の統轄は代表者の柴田が行い、分担者の河合がこれを補佐する。
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