研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101009
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
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研究分担者 |
河合 望 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (00460056)
中町 信孝 甲南大学, 文学部, 教授 (70465384)
津本 英利 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
長谷川 修一 立教大学, 文学部, 准教授 (70624609)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 政教問題 / 西アジア史 / メソポタミア / エジプト / イスラーム / キリスト教 / ユダヤ教 / ライシテ |
研究実績の概要 |
括弧付けでの「政治」と「宗教」という課題に取り組む本計画研究は、古代西アジア世界に重点を置きつつも、先史時代から現代まで見据えたマクロな西アジア史を射程に入れて研究を推進してきた。後者の研究の主たる成果は各時代地域の専門家が共同執筆する研究書として公刊する。 昨年度までに開催した研究集会を通じて問題の所在を明確化してきた。本年度はそれら成果を踏まえ、まず2015年7月12日にこの計画研究に参画する各時代地域の専門家全員とともに研究会議を行った。これまでの成果を総括することによって研究全体の構成を整理し、研究書作成に至る最終的な道筋を決定した。 この会議の成果を踏まえたうえで古代西アジアに焦点を当てた研究会議を10月25日、古代・中世キリスト教に焦点を当てた研究会議を11月21日に開催した。前者の会議では柴田大輔(代表者)と河合望(分担者)がそれぞれメソポタミアとエジプトについて発表した。発表は、依拠する史料、先行研究の枠組みと語彙を確認したうえで、政権の形態、先行研究が「宗教的」と形容してきた組織を整理し、政権と「宗教的」な組織の関係、前後の時代との比較について論じた。後者の会議では辻明日香(研究協力者)が発表したほか、ゲストとして北海道大学の戸田聡氏に関連する講演を依頼した。 このようなマクロな研究と並行して古代西アジアの政教問題に関する研究も実施した。2016年3月23・24日には他の計画研究や科研プロジェクトと合同で国際会議を筑波大学において開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本計画研究はマクロな西アジア史を研究の舞台としているが、日本にはこれまで「西アジア史」と呼ばれる地域史の枠組みもディシプリンも実質的に存在せず、研究は「古代オリエント学/史」、「イスラーム学/史」、「ユダヤ学/史」などといった枠組みの中で推進されてきた。このため、諸分野の専門家の連携は容易ならざるものと当初予想されていたが、そのような当初の予想をはるかに超えた連携をとることに成功した。さらに、政教問題という研究課題にとっては非常に重要な鍵となる一方で、現在のディシプリン分類においては遠く離れてしまっている近代西欧宗教研究の専門家との協働も当初の予想以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究書の執筆を分担する各時代地域の専門家が、それぞれの分担のたたき台となる発表を行う研究会議を2016年7月10日に開催し、相互に批判的に検討する。その後も会議・メールなどを通じて互いの執筆分担をブラッシュアップするとともに、全体としてのまとまりをもたらす。
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