計画研究
本年度は下記の(1)-(5)に関する研究を遂行した。(1) X線コンピュータトモグラフィ(CT)装置の導入とそれによる化石資料の空隙・変質の定量化:化石骨、歯からアパタイト、コラーゲンを抽出する前に非破壊でその内部構造を把握することを目的にX線CT装置を導入した。(2) フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)装置の導入:アパタイトの結晶度は化石資料の受けた変質のよい指標となることが示されている。この評価のためにFT-IR装置を導入した。(3) コラーゲン・アパタイトの分離法の検討:薬品によりコラーゲン、アパタイトを抽出する方法を確立するために、現生生物の骨からの抽出を試みた。(4) リン酸酸素同位体比分析:現有の装置においてリン酸の酸素同位体比測定が可能かどうか検討した。酸素同位体比測定ではグラッシーカーボンからなる反応管に試料を落下させ、発生するCOを分析対象としている。筑波大学の現有装置では反応管は最高温度1300℃の炉の中に挿入されている。リン酸を用いた分析においては、この温度では酸素のCOへの変換効率が低く、同位体比分別、メモリー効果(次のサンプルに対する前のサンプル残渣の影響)が起きていることが分かった。平成25年度には2000℃までの加熱を可能とする炉を導入するが、そのための基礎データを集めることができた。(5) Sr同位体比分析に向けての準備:次年度からアパタイトのSr同位体比分析を始めるために、超純水製造機を導入した。
3: やや遅れている
骨試料の微細内部構造を分析するために、X線CT装置を導入したが、通常の試料に比べて大型試料を扱うために改変が必要であり、そのために導入が遅れた(導入は3/28)。骨試料の扱いは、観察後に行う予定でいたので、抽出・分析の時間が取れなかった。しかし、実際の資料を必要としない部分に関しては予定通り進めることができた。
X線CT装置による内部構造の解析、それをもとにした同位体比分析用のサンプリング、アパタイト、コラーゲンの抽出、その同位体比分析を行う。現有の高温炉ではリン酸塩酸素同位体比測定が困難であることは、当初の予測通りであるが、2000℃まで加熱可能な炉を平成25年度に導入することで対応可能である。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
Science of The Total Environment
巻: 445-446 ページ: 365-370
http://dx.doi.org/10.1016/j.scitotenv.2012.12.069
Economic Geology
巻: 107 ページ: 1489-1497
doi: 10.2113/econgeo.107.7.1489
http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/kaken/contents/org/A03.html