研究領域 | 現代文明の基層としての古代西アジア文明―文明の衝突論を克服するために― |
研究課題/領域番号 |
24101011
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安間 了 筑波大学, 生命環境系, 講師 (70311595)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 西アジア / 第四紀 / 環境変動 / 湖沼堆積物 / 古地震 |
研究実績の概要 |
研究計画の初年度にあたり、研究環境の整備・拡充と、海外研究計画の実現のための連絡体制・ロジスティックの構築を主眼に活動した。効果的に堆積物柱状試料の採取を行うため、地下の堆積構造をマッピングできる地下レーダー探査装置、採取した堆積物の微細組織を定量的に評価できる帯磁率異方性測定装置を購入し、研究環境の拡充を行った。機材使用法に関する講習会を開催し、機材使用法の習熟を図った。国内の研究協力者と会合を重ねながら現地調査計画を練り、11月下旬にはオマーン国の予備的な現地調査を行った。オマーンに分布するオフィオライトとそれに付随する銅鉱山などを視察し、原材料供給地の認定材料を収集するとともに、Sultan Qaboos Univeristyの海外研究協力者と次年度以降の現地調査研究と筑波大学におけるシンポジウム開催について打ち合わせを行った。12月には総括班研究費の援助を受けながらマイアミ大学教授のYildirim Dilek氏、国内の研究協力者を招いて、シンポジウム「西アジアの地質」を筑波大学で開催し、情報を共有すると共に次年度のイラン・トルコの古環境調査についての研究打ち合わせを行った。2月には筑波大学で開催された日本フィッショントラック研究会において、総括班研究費の援助を受けながら国内8名の研究者を招請し、共通セッション「考古学との連携」を開催した。これらの結果は、平成25年度の予算を用いて出版物としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地下レーダー探査機と帯磁率異方性測定器を購入して研究環境の整備は順調に進んでおり、次年度以降の実験研究を行うための下準備が充分にできた。平成24年度の現地調査は予備的なものにとどまったものの、トルコ国、オマーン国、イラン国については独自の現地サポート・連絡体制を築きあげられたため、次年度以降の現地野外調査体制は整った。総括班と協力しながら2回の関連シンポジウムを開催し、海外研究協力者を招待して具体的な調査計画を案出し、調査地でのロジスティック体制を整えることができた。また総括班費用で購入したビデオカメラなどの機材を用いて、これらのシンポジウムの画像記録をアーカイブ化し、出版化するための体制を整えることができた。堆積物柱状試料の採取器具を新たに設計し、筑波大学工作センターで作成中である。これをもって、試料採取から分析まで、筑波大学で行える体制が整えられる。事務支援体制も強化されており、本申請研究は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
研究環境の整備が一段落する平成25年度以降は、計画的な現地調査および堆積物試料採取を推進する。平成25年度は7月にトルコで、11月にイランでの現地調査を予定している。トルコ調査の目的は、地質調査所を訪問し地質や古地震記録などについての研究資料を収集すること、第四紀古環境変動を探るための湖沼堆積物を採取すること、石材などの原材料供給源を同定するために久田班と協力しながら地質調査を行うことである。イランではクルディスタン大学の研究協力者と共同して、第四紀火山の活動と、それが環境変化にもたらした影響などを調査する予定である。4月の欧州地球科学連合でオフィオライトについてのセッションを開催し、西アジアにおけるオフィオライト研究の到達点を確認すると共に、海外研究協力者と会合して今年度および来年度の現地調査研究計画を確認し、現地支援体制をさらに完全なものにする。また、平成24年度の開催した考古学に用いられる年代測定法についてのセッションをまとめて、出版する予定である。また、西アジアにおける第四紀環境変動研究のレビューをおこなう。イランでの調査には入国手続きや機材の持ち込みなどに制限があるが、政治情勢が悪化して入国が困難な場合には、オマーン国やエジプト国などの調査に切り替えられるように、現地サポート・連絡体制を確立していく予定である。また、平成26年度以降は関連諸国の政治状況を見極めながら、トルコ、イラン、オマーンを中心に、完新世古環境変動の解明を主眼に研究を推進する。
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