元素ブロック高分子材料のモノマーとして位置づけられる元素ブロックを、遷移金属酸化物ナノ粒子を出発物質として作製し、将来的には元素ブロック高分子へ展開するために、遷移金属の単純酸化物や複合酸化物のナノ粒子の作製とこれらを対象とした表面修飾技術を発展させるべく、研究を実施した。また、分子の反応による無機ナノ構造骨格の形成を利用した元素ブロックへも展開した。 表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)開始基を有するホスホン酸誘導体をチタニアナノ粒子表面に固定化し、ATRPプロセスでポリメタクリル酸メチル(PMMA)鎖を成長させ、ポリマー鎖で覆われた元素ブロックを作製した。この時イソデシルリン酸を同時に反応させて、ATRP開始基の表面密度を低下させた。チタニア粒子から切り離したPMMA鎖の分子量分布は狭く、ATRPプロセスが進行したことがわかった。PMMA鎖修飾チタニアナノ粒子をメタクリル酸メチルに分散させ、得られた安定な分散液を重合して5mm厚のバルク体を作製した。6.3体積%のチタニアを含むハイブリッドバルク体では、透過率は76.1%、屈折率は1.566であった。 カゴ型構造ボロフォスフォネートは、ホウ素とリンをそれぞれ4つ含み、両者が酸素を介して結合しているB-O-P骨格を中心に有しており、微小な無機ナノ構造を有する元素ブロックと考えることができる。そこで、tert-ブチルホスホン酸と重合可能な官能基を有するボロン酸(4-ビニルフェニルボロン酸あるいは4-エチニルフェニルボロン酸)を反応させ、2種類のカゴ型構造ボロフォスフォネートを合成した。NMR、IR、質量分析結果から、生成物がカゴ型構造ボロフォスフォネートであることがわかった。
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