研究実績の概要 |
かご型シルセスキオキサン(POSS)を基本骨格とし、有機化学的手法で複数のPOSSを結合させたスター型ハイブリッドブロックの設計合成を行い、これら単独での材料物性・機能評価を行い、元素ブロック基盤材料としての課題を抽出することを第一の目的として研究を行った。次いで、構造が規定された二官能性POSSの合成法を確立することで、高分子化の手法と融合させた元素ブロック高分子の創出を行った。また、高周期15族元素を組込んだ新たな元素ブロックの創製も押し進めることで、新たな元素ブロック高分子材料のライブラリー拡大化を行い、以下の成果を得た。 1)8個のイソブチル置換POSSを架橋ユニットであるアルキレン鎖の長さを変更させてオクタジメチルオクタシリケートに結合させたスター型POSS誘導体を合成し、それらの特性を評価することで化合物の結晶性や物性の制御を検討した結果、アルキレン鎖が短いほど結晶性が低下し、それにより光学的透明膜を形成することが分かった。 2)テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAOH)を塩基として用いたビニルへプタイソブチルT8のコーナーオープニング反応について検討し、分子構造が規定されたビスビニルヘキサイソブチルPOSS誘導体の合成に成功した。またこのモノマーを用いてPOSS元素ブロック高分子の合成を行った。 3)非対称アセチレン化合物を用いることで、不斉および非対称環状ヒ素配位子が得られると考えられる。そこで、ペンタメチルシクロペンタアルシンとフェニルアセチレンとの反応において、再沈殿および再結晶によって精製し、cis-2,5-ビスフェニル-1,4-ジメチル-1,4-ジヒドロ-1,4-ジアルシニンを収率5%で得た)。これを配位子としてとヨウ化銅との錯体形成を行った。単結晶X線構造解析より配位子とヨウ化銅が3対2の割合で配位したかご型錯体であり、片方のエナンチオマーのみで選択的に配位していることが分かった。
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