計画研究
かご-鎖交互型ネットワークポリマーの精密一次構造制御に関する合成技術の確立に関する検討を引き続き行った。合成したポリマーやそれを用いたネットワークポリマーを用いて、構造と物性の相関性を探ることが本研究の目的の一つである。架橋フィルムの物性を評価するには、架橋条件を変えながら、物性測定を行う必要があり、そのために必要なポリマー量を確保することのできる大量合成へのスケールアップが重要である。そこで、比較的大量合成が可能であると考えられる平衡重合法によるランダム型ポリマーの大量合成条件を検討し、100gスケールの合成に成功した。また仕込み条件、反応条件により、どのように重合度や組成比が影響するかを明らかにした。またPOSS-シロキサン以外の系であっても、同様のハードセグメント元素ブロックとソフト鎖のの組み合わせにより、興味深い特性を有するポリマーをデザインできるはずである。そこでPOSSユニット以外の二官能性元素ブロックとして、フェロセンジオールを選び、これをオリゴエーテルのソフト鎖でつないだ新たなかごー鎖ポリマーの合成に成功した。かご-鎖交互型ネットワークポリマーは、その分子設計によって、フレキシブルでありながら、極めて低い線膨張性を示すことが明らかになった。この低線膨張性はゴム状態において発現しており、POSSかごとPOSSかごの間に閉じ込められたシロキサン鎖が引き伸ばされたコンフォメーションを取っており、温度が高くなるに連れて、エントロピー的に有利なより縮んだ構造を取ろうとするナノエントロピー効果によって生じていることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
かごー鎖ポリマーにおけるかごと鎖のアレンジメント(一次構造)に関する合成手法の確立し、さらに、大量合成を可能とする重合条件を確立した。またPOSSユニット以外の二官能性元素ブロックとして、フェロセンジオールを選び、これをオリゴエーテルのソフト鎖でつないだ新たなかごー鎖ポリマーの合成に成功した。
POSS以外のかご鎖交互ポリマーの探査を引き続き続けていく。またかご鎖交互ポリマーの特徴である、フレキシビリティと極低線膨張性に関しても、ナノエントロピー弾性効果として、これを証明していく。
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