研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
24102006
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
國武 雅司 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (40205109)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 元素ブロック高分子 / かご形シルセスキオキサン / 有機無機ハイブリッド / シロキサンポリマー / 無機高分子 |
研究実績の概要 |
機能性ナノ元素ブロックを高分子化、すなわち“つなぐ”ための様々な方法論の確立を目指した研究を展開している。機能性元素ナノブロックのモデル化合物として、かご形シルセスキオキサン(POSS)に着目し、剛直なPOSSと柔軟なシロキサン鎖が交互に配列した交互かご鎖構造を有するネックレス型ポリシロキサンを開発している。多段階の重縮合反応、もしくはオクタメチルシクロテトラシロキサンの開環平衡重合によって、鎖長固定型、鎖長変調型(POSS間のシロキサン鎖長が交互に変化するタイプ)、ランダム型と、主鎖中のPOSSアレンジメントの異なるポリマー合成(Mw>10万)を開発してきた。縮合反応と異なり厳しい脱水条件を必要としない開環重合を用いることで、ポリマーの大量合成が可能となった。一方で、環状シリコーンの開環重合における反応条件と重合度などの詳細は明らかになっていなかった。そこで、反応条件の詳細な探査を行うとともに、高重合度ポリマーの作成条件を明らかにした。環状シリコーンの開環重合は、本来平衡反応であり、開環やシラノール基間の縮合による連結反応だけでなく、酸触媒によるシロキサン鎖の切断反応も同時に起こることから、POSS間のシロキサン鎖に分布が生じ、ランダム型のポリマーが生じる。POSSは、この攻撃に対して安定であり、シロキサンポリマーの重合反応において、シロキサン鎖の間に挿入される。連結と切断の反応平衡には、触媒濃度だけでなく、温度や水分含量にも大きく影響をうけており、数十万を越える高分子量ポリマーを再現性良く得るには、こうしたパラメーターの最適化が必要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能性元素ナノブロックのモデル化合物である、かご形シルセスキオキサン(POSS)と柔軟なシロキサン鎖が交互に配列した交互かご鎖構造を有するネックレス型ポリシロキサンを様々な重合法で合成することに成功し、高分子の一次構造制御にほぼ成功した。また詳細に一次構造を制御可能な高分子材料として、高分子の一次構造と高分子物性の間の相関性をあきらかにしていくため、大量合成が必要となる。これも平衡重合法による大量合成への道を開くことに成功しており、平衡重合法による一次構造制御条件をもう少しで解明で出来る所まで来ているy.
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今後の研究の推進方策 |
ややPOSSネックレスポリマーにおいても、重合度やかご間鎖長分布など、パラメーターが多いため、反応条件探査にかなりの時間と手間が掛かっている。また、POSS以外のナノ元素ブロックのネックレス型高分子化でやや苦労している。手頃な二官能性ナノ元素ブロックのとそれぞれの系に適した反応系の探査を行っている。球状の元素ブロックに拘っていたが、形状にこだわらない系に手を広げることで、今後の進展が期待できると考えている。
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