研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
24102008
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
郡司 天博 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20256663)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 元素ブロック / ポリシルセスキオキサン / フラーレン |
研究実績の概要 |
フラーレンをo-ジロロベンゼン中で4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸) (ACVA)と反応させ,カラムクロマトグラフィーによりACVAとC60のラジカル反応生成物(ACVA-C60)を得た。次に,ACVA-C60とポリメチルシルセスキオキサン(PMS)またはポリメトキシシルセスキオキサン(PMOS)と混合して加熱して,シロキサン系元素ブロック材料の自立膜を得た。 ACVA-C60をPMSと混合してシロキサン系元素ブロック材料を得た。すなわち,PMSを100℃で加熱すると数日で固化し,PMSの硬化体が得られた。ここにACVA-C60を共存するとPMSとACVA-C60が均一に混合してハイブリッドが得られた。一方,C60はPMSと混合せず,PMSとC60が分離した硬化体となった。 一方,PMSの代わりにPMOSとACVA-C60を100℃で加熱するとACVA-C60とPMOSのハイブリッドが得られた。また,C60はPMOSと混合しないので,PMOSとC60からは均質な硬化体は得られず,C60がPMOSと分離した硬化体になった。ACVA-C60とC60を混合するとPMOSのみの場合に比べて短時間で固化することから,PMOSの硬化がACVA-C60により促進されることがわかる。また,PMOSの硬化体は表面から亀裂を生じて破砕したが,ACVA-C60を共存すると亀裂が生じにくくなり,ACVA-C60がシロキサンの縮合を促進したことがわかった。このことは,硬化体の三点曲げ試験の結果からも明らかになり,ACVA-C60を共存したPMOSの硬化体はPMOSのみから調製した硬化体よりも弾性係数および破断点応力が大きくなっており,シロキサンの縮合がより進んだことを支持する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標に従い,ポリメチルシルセスキオキサンやポリメトキシシルセスキオキサンを効率的に合成する古語ができた。また,フラーレン誘導体も高効率に合成する条件を見出すことができた。これらを混合して加熱することによりフラーレン骨格を最大限に生かした複合材料を提供することができた。また,フラーレン誘導体を混合することにより曲げ強度や引張強度が大きく増加することも見出した。これらの知見は,本研究が順調に遂行したことによりもたらされたものであり,本研究はおおむね順調に進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
フラーレン誘導体を簡便に合成する条件を見出すことができたが,その生成物のキャラクタリゼーションが不十分であり,新たな物性を探索する必要がある。また,ポリメチルシルセスキオキサンやポリメトキシシルセスキオキサンは反応規模が小さいので,大きい規模での調製に向けて条件検討が必要となる。 これらを混合して調製する元素ブロック材料については,シロキサン系元素ブロックの分子量や構造が物性に及ぼす影響を探索する必要がある。 さらに,ポリシルセスキオキサンの骨格構造を生かした,新しいシロキサン系元素ブロックを設計し,その機能開発を進めるよていである。
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