研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
24102008
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
郡司 天博 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20256663)
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研究分担者 |
塚田 学 東京理科大学, 理工学部, 助教 (60632578)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 元素ブロック / ポリシルセスキオキサン / カゴ型シルセスキオキサン / メタラジチオレン錯体 |
研究実績の概要 |
さまざまな元素群で構成される構造単位である元素ブロックを組み合わせることにより元素ブロック高分子材料が創出される。平成27年度は前年度に引き続いてケイ素と酸素,炭素を主な構成元素とするシロキサン系元素ブロックとルテニウムやモリブデンのジチオレン錯体の元素ブロック材料の調製を検討した。 ギ酸を触媒とする新規ゾル・ゲル法を開発した。アルコキシシランの加水分解・重縮合反応の触媒にギ酸を用いることで低沸点のギ酸メチルも生成し,蒸留による触媒の除去が可能となる。さらに高分子量のポロシロキサンをハロゲンフリーで合成できる。本年度はメチルポリシルセスキオキサンの合成条件を最適化して高分子量体を高効率に合成する条件を見出した。また,反応規模を5倍にしても反応条件を変更することなく高分子量体を生成することに成功した。 カゴ型シルセスキオキサンに芳香族化合物を結合した化合物に光照射するとカゴ型構造に電子が移動する興味深い現象が報告されている。そこで,可視光域に強い吸収を有するアズレンを置換したカゴ型シルセスキオキサンの合成を検討した。オクタキスビニルオクタシルセスキオキサンとビニルアズレンの反応によりオクタキスアズレノエテニルオクタシルセスキオキサンを得た。 1,2-ベンゼンジチオールを配位子とするルテニウムとモリブデンの錯体を合成した。ホスフィン配位子の種類を変えて,四種類の錯体を合成した。これらはニトロゲナーゼの活性部位を模倣した構造であり,窒素を還元してアンモニアを生成することが期待され,フェニルヒドラジンやメチルヒドラジンとの付加体の合成を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標に従い,ギ酸を用いた新規ゾル・ゲル法を開発して新しいシロキサン系元素ブロック高分子の合成法を提案することができた。また,カゴ型シルセスキオキサンを含有する元素ブロック高分子材料についても,アズレノエチニル基を側鎖とする化合物の合成を提案することができた。さらに,ルテニウムとモリブデンをのジチオレン錯体を合成し,ニトロゲナーゼの活性部位を模倣した構造を再現するに至った。これらの知見は,本研究が順調に遂行したことによりもたらされたものであり,本研究はおおむね順調に進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
ギ酸を用いてメチルポリシルセスキオキサンを合成することを見出したが,その生成物のキャラクタリゼーションが不十分であり,特に高分子量体の合成条件を精査する必要がある。この手法により,従来より大きな反応規模で合成することが可能になったので,なるべく大きな規模での合成を探索する必要がある。 これらを混合して調製する元素ブロック材料については,シロキサン系元素ブロックの分子量や構造が物性に及ぼす影響を探索する必要がある。 また,新規構造を有するジチオレン錯体の合成,およびそれらの骨格構造を生かした,新しいシロキサン系元素ブロックを設計し,その機能開発を進める予定である。
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