今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、以下の2項目を中心としながらさらに広範囲の電子物性解析を推進する予定である。(1) 13族元素(B, Al, Ga, In等)、14族元素(Si, Ge, Sn等)、15族元素(N, P, As, Sb, Bi等)および16族元素(S, Se, Te等)を含む元素ブロック高分子材料の電子物性解析の手法を広く確立する。同時に適切なオリゴマーモデルを採用して、それらの電子物性・スピン物性・光物性等・熱電物性等の探索を目的としながら、開殻状態や励起状態の精密な記述方法による電子状態の検討も併せて行う。とくに新規な元素ブロック高分子の分子設計を積極的に行い、その電子状態ならびに発現が期待される電子物性に基づく材料設計を合成に先んじて行う。(2) 従来行ってきた班内・班間の共同研究にさらに注力するとともに、(i)界面自由エネルギーの微視的解析に基づく高分子の撥水性に関する理論的記述法の確立、(ii)高分子材料の熱膨張率の減少とエントロピー弾性の相関について解析するための理論的設計指針の確立、(iii)導電性高分子のバンドギャップ内準位の存在に基づく熱電発電能の向上に関する設計指針の確立などに関する研究を推進する。これらのための理論的研究は電子状態解析の幅を一層広げるものでもあり、積極的に推進する予定をしている。 なお28年度が最終年度であることにも鑑み、英文総説単行本など適切な形で研究成果をとりまとめ、世界的に発信することも計画している。
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