研究領域 | 重力波天体の多様な観測による宇宙物理学の新展開 |
研究課題/領域番号 |
24103002
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河合 誠之 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80195031)
|
研究分担者 |
三原 建弘 独立行政法人理化学研究所, MAXIチーム, 専任研究員 (20260200)
冨田 洋 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任開発員 (30399547)
谷津 陽一 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40447545)
|
研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 宇宙物理 / X線天文学 / 重力波 / ガンマ線バースト / X線検出器 |
研究概要 |
中性子星連星合体や超新星などの天体現象において重力波にほぼ同期して放射されるX線の検出をめざす広天域X線監視ミッション WF-MAXIの開発と、重力波発生に関連する天体である中性子星やブラックホールの観測研究を目的とし、初年度には以下の研究を行った。 (1) WF-MAXIの開発:国際宇宙ステーションに搭載するためのバス部の基本的な設計検討を実施し、容量、電力、排熱、質量の制約を見積もった上で、科学目標を実現できる観測装置の規模と配置を決定した。主観測装置であるSLC(軟X線大立体角カメラ)は独立な4台のカメラによって全天の20%をカバーする。それぞれ、32枚の大フォーマットCCDを半数ずつ互いに垂直に並べて一次元画像として高速に読み出し、符号化マスクと組み合わせてX線源の位置を決定する。それぞれ機械式冷凍機と組み合わせる。このため、CCDの仕様と電気回路計の設計、および熱設計の基本的検討を進めた。また符号化マスクのタングステン薄板のレーザー加工により試作したが、バリなどの問題が生じたため、別の方法の検討を行った。また、副観測装置であるHXM(硬X線モニター)の初期設計検討と熱設計に関わる概略検討を実施した。シンチレーターとして当初の案であるCsI結晶に加えて、試験用にGAGG結晶を購入し、光量測定等・機会特性の測定等を実施した。 (2) 重力波関連天体の観測研究:軌道上のMAXI/SSCのバックグランドを調べ、超新星起源の可能性のある広がった拡散X線天体の解析を進めた。また、Fermi、すざく衛星、および地上光学観測に基づき連星ガンマ線パルサーの研究を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SLCのCCDのパッケージの再設計(ケーブル取り付けをワイヤボンディングから変更)があったため、それに伴いカメラ、冷却系・電気系の設計、評価、さらに、カメラを含めたバス系全体の検討、および副検出器であるHXMの設計に遅れが生じた。現在では新しい設計で、CCDの製造およびカメラの設計・試作を進めている。MAXIその他の衛星を用いた中性子星・ブラックホール天体やガンマ線バーストの観測は順調に進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
KAGRA、Advanced LIGO等の次世代重力波望遠鏡によって検出される重力波のX線対応天体の発見をめざし、国際宇宙ステーション搭載に搭載する広天域X線監視装置WF-MAXIの開発を進める。軟X線広天域カメラ(SLC)4台によって、大西洋放射線異常帯(SAA)を除く軌道上の大部分で全天の20%を監視するという全体の概念設計はほぼ完了した。SLCのCCDの製造と性能試験、信号読み出し回路の製作と試験、CCDを-100度まで冷却する熱設計を進める。特に、地上用の機械式冷凍機を組み合わせたSLCの試作品を製作し、冷却性能と、カメラとしての動作の試験を行う。実験室モデルMAXIと異なり大きな開口部からの熱流入の少ない遮光フィルターと符合化マスクの設計を行う。硬X線モニター(HXM)は、シンチレーターの配列とコリメーターを組み合わせて粗い位置感度を持たせる。多系統信号を処理するためのASICを開発する。これらを収納し、電源、熱環境、およびデータの与圧部への転送を行うバス部の設計を進める。また、MAXI、Ferimi、すざく、Swift等のX線・ガンマ線天文衛星による中性子連星、ブラックホール、およびガンマ線バーストの観測研究も、継続して実施する。
|