計画研究
突発的重力波現象に付随するX線放射を検知し位置を決定するための宇宙ステーション搭載広視野X線監視装置 WF-MAXI の開発として、広視野軟X線CCDカメラ(SLC)の検出器部の開発要素である (1)大フォーマットCCD素子、(2)電子回路部、(3)カメラ熱・構造部、の試作品を完成させ機能を確認した。符号化マスクに対しても設計・試作を進め、タングステン素材に対し、レーザー加工で加工方法の評価を行った。硬X線モニター(HXM)に関しては、アナログ信号処理用ASICを開発し、これを搭載したセンサ信号読み出し回路の設計・製造、および機能確認試験・性能評価試験を完了した。設計段階での WF-MAXI の天体に対する検出感度の見積もりを行い、ミッション要求を十分に満足する感度を達成できる事を確認した。ISS搭載ペイロードとして、専用バスの設計も進め、電源・通信・データ処理、熱制御、姿勢決定に関して要求を満たす設計案を作成し、JAXA宇宙科学研究所平成25年度小規模プロジェクトに提案した。GRB、中性子星、ブラックホール、超新星残骸など重力波源に関連する天体現象の観測研究としては、全天X線監視装置MAXIにより、Be連星X線パルサー4天体から増光の検出、3つの新天体(ブラックホール連星1天体、中性子星連星 2天体)の発見、観測史上最大級の明るいガンマ線バーストGRB 130427Aの観測、MAXIの37ヶ月のデータに基づく高銀緯X線源のカタログ、直径10度を超えて広がる白鳥座の軟X線構造の極超新星起源の発見、新種の軟X線源 MAXI J0158-744の新星着火による解釈、インターネット上のオンデマンド・データ公開などの成果を上げた。また、欧米の重力波望遠鏡 LIGO/Virgoによって検出される重力波に対応するX線放射をMAXIで探索するために、観測協定を締結した。
2: おおむね順調に進展している
重力波源関連天体の観測的研究においては、予想外の天体の発見や、新種の軟X線トランジェント天体 MAXI J0158-744、およびはくちょう座ループの「極超新星」の可能性の報告、巨大な GRB 130427Aの観測に関してはプレス発表を行い、LIGO/Virgoグループとの観測研究協定の締結など、当初の想定以上の成果を上げることができた。やや成果発表が遅れていたMAXI/SSCによる観測に関してもブラックホール天体・突発天体等の解析を進めて5件の査読論文を出し、CCDでの全天モニター観測が可能なことを示した。WF-MAXIの開発において観測装置、全体の設計、運用の計画検討等は、熱設計の確認実験と符号化マスクの試作においては若干の遅れが生じたものの、全体としてはほぼ当初の予定どおりには進めることができた。SLC用の大フォーマットCCD素子開発、これを用いたカメラ試作、その冷却性能確認を行い、将来衛星搭載用広視野カメラとしての基本機能を確立できた、その結果をまとめて提案書を作成しJAXA宇宙科学研究所平成25年度小規模プロジェクトへ応募した。
WF-MAXIに関しては、設計の結果、専用バスの費用が大きいため、搭載可能性を向上させるために、中型共用バスを用いた小型化オプションの検討を進める。SLCの試作を進め、エネルギー感度と時間分解能の目標性能を達成し、符号化マスクとの噛み合わせも行う。この結果を基に実観測での粒子バックグランドと感度の推定、観測に要するテレメトリ量の算出を行う。CCD素子は放射線実験による軌道上での寿命の推定および運用温度を決定し、CCD側面の黒色塗料の塗布による近赤外線遮断の技術確立を行う。符号化マスクに関してはレーザー加工で試作したタングステン素材に遮光膜を傷つける恐れのある微小突起が見つかったため、素材を100μm厚のステンレスにしてエッチングで試作も行う。HXMに関してはさらに試作・試験を進め、構造の実機にセンサ要素を実装し、センサとしての動作確認を行う。また、振動・衝撃・熱サイクル・熱真空等の各種環境試験を実施し、フライトに耐えられることを確認する。現時点では、ISSを念頭にIFの開発を行っているが、超小型衛星を含め、他のフライトチャンスにも対応出来るよう安全マージンを考慮して開発を行う)今後も全天X線監視装置(MAXI、マキシ)を用いた天体増光現象の監視・発見・速報を行い、他の衛星とも連携してGRB、中性子連星、ブラック ホールの研究を進める。また、Fermi衛星との他波長連携の観測データ解析も進めていく。さらに、理論グループ、光学観測グループとの連携研究、重力波観測速報を受け取った場合の対応についても、検討および対応する速報システムの構築を進めていく。MAXI/CCDカメラのデータ解析では、(1)全天の10%以上に大きく広がった軟X線構造の輝線解析による正体解明、(2)軟X線での全天カタログの作成を行う。両者ともに解析は80%程度が終了しており、残り20%の解析と物理解釈を行う。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (24件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (41件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)
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