計画研究
研究代表者の齊藤らは,本年度,標的タンパク質をセンシングし、細胞内外で駆動する人工RNAナノマシンのプロトタイプを作成することに成功した。このナノマシンは、タンパク質との結合によりその構造と機能を大きく変換できることを見出した。さらに、分担者の遠藤と共同研究をおこない、タンパク質駆動型RNAナノマシンをAFMを用いて高解像度観測することに成功した。また、分担者の瀧ノ上と共同研究をおこない、リポソーム機能制御にむけたRNAナノ構造体を設計し、現在その機能を分担者らと解析中である。今後、より精密な機能を有するRNA型分子ロボットの開発が期待できる.分担者の遠藤は,分子ロボットのセンサーとなる2種類の人工レセプター構造体を構築した.一方は脂質膜を貫通する針状構造を持つDNA構造体を構築した.リポソームとDNAナノ構造体の相互作用は,脂質二重膜上での格子構造の構築と高速AFMによる格子構造の形成過程の可視化を行った.もう一方は,2つのドメイン間にセンサー部位を導入したDNAナノ構造体を構築し,特異的なDNA鎖に対して構造変化を誘導できることを見出した.分担者の瀧ノ上は,齊藤らと協力して,リポソームベースの分子ロボット構築のためのマイクロ流体デバイスの開発・応用に成功した.また,スライム班の村田・野村や公募班の柳澤らと協力し,マイクロ油中水滴をテンプレートにした,Y-motif型DNAタイルをベースの新しいDNAマイクロ構造形成のプロセスを発見し,そのメカニズムを物理学的に明らかにした.さらに,分担者の遠藤や公募班の・柳澤らと協力して,マイクロ油中水滴をテンプレートにした,DNAオリガミベースのマイクロカプセル生成の研究を発展させた.また非対称複雑形状ゲル粒子の自律運動実験と数理モデルの開発に成功した.
2: おおむね順調に進展している
今年度も以下のように計画に沿って順調に進展できている.齊藤らは,タンパク質をセンシングできる人工RNAナノマシンのプロトタイプの開発に成功し,それが細胞内外でタンパク質の発現情報をセンシングし,駆動することを見出した.また,遠藤らは,分子ロボットの重要部品のセンサーとなる人工レセプター構造体の構築とDNA鎖による構造変化の操作を行え,脂質膜上でのDNAオリガミ構造体のアセンブリーの形成を行えた.瀧ノ上らは,従来のリポソーム型分子ロボットの発展や,自律運動の実現や数理モデルの構築に成功したことに加え,新奇なカプセル型分子ロボットのボディの構築メカニズムの発見を行った
最終年度となる本年度は,以下のような研究によって,分子ロボットのための「核酸ナノ構造を活用した多元分子情報変換デバイス」の構築をさらに発展させる.代表者の齊藤らは,細胞内外における様々な入力情報をセンシングし、目的の出力を与える機能性RNA型分子ロボットを開発する。RNA型分子ロボットの開発において、従来より複雑な三次元構造と機能制御を実現できるデバイスの開発にとりくむ.分担者の遠藤らは,人工レセプターをリポソームに結合させ貫通させてターゲット分子を導入し,その応答性と機能を検討する.さらに,分子ロボット内での外部刺激に応答したDNA増幅反応,転写・翻訳系の制御を行う.分担者の瀧ノ上らは,マイクロ油中水滴をテンプレートにした,Y-motif型DNAタイルをベースのDNAマイクロ構造形成や,DNAオリガミベースのマイクロカプセル生成の研究を発展させ,センサー的な外部環境応答性などの機能付加を実現する.また非対称形状粒子や非対称外場に応答する自律運動実験と理論の研究を進める.
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すべて 雑誌論文 (27件) (うち国際共著 4件、 査読あり 27件、 オープンアクセス 13件、 謝辞記載あり 25件) 学会発表 (50件) (うち国際学会 15件、 招待講演 23件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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