計画研究
化学反応回路の設計論と高性能化に関する成果，分子ロボットプロトタイプの構築に関する成果，新しい計算モデルに関する成果を収めた．化学反応回路の設計論については，Time Responsiveなアナログ回路の設計論を理論的に確立した．関数の標準形という概念を導入し，目的の関数を近似的に化学反応で実装する手法を考案した．テイラー近似可能な任意の関数を用いた分類タスクを，提案した手法により近似的に設計できることを示した．回路の高性能化については，光架橋反応におけるピリミジン5位の置換基の影響を調べることにより，これまで報告したDNA鎖置換反応の速度を制御できることを見出した．また，DNA鎖置換反応を用いた新規光開裂反応を開発し、配列選択的に室温条件下での光開裂を実現した．さらに，高次構造を形成し、検出が困難な標的rRNAに対して有効な新規RNA FISH法の開発に成功した．分子ロボットのプロトタイプ構築に関しては，機能要素間の「分子濃度ギャップ」を克服するDNAシグナル増幅回路の性能を向上させて，ベシクル内で機能させることに成功した．さらに，前年度の感覚班との連携による設計を発展させ，アメーバ班とも連携して全機能要素を統合したアメーバ型分子ロボットの構築に取り組み，動作の検証を行った．新しい計算モデルについては，分子ロボットシステムを分散システムの観点からモデル化し，分子ロボットの持つべき特性を明らかにする研究を進展させた．これまでは，２次元空間を移動するロボットを想定してきたが，本年度は，３次元空間を移動するロボットを対象として，重要な進展が得られた．環境に適応する化学反応による計算モデルについては，抽象化学系でニューラルネットワークを構築し音声入出力を介し環境変動に適応的に動作する系を構築した．また自己維持的なDNA反応系を用いて環境変動に適応して反応を維持する系を実現した．
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 1件、 査読あり 18件、 謝辞記載あり 18件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 8件、 招待講演 5件) 図書 (2件) 産業財産権 (1件)
Journal of the ACM
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