研究実績の概要 |
(1) Σ+p, Σ-p散乱実験(J-PARC E40)のための陽子検出器(CATCH)のテストのため、2017年1月に東北大サイクロで重陽子・陽子散乱実験を行い、実験装置全体が要求性能を十分満たすこと、断面積が正しく測定できていることを確認した。その後、CATCHをJ-PARCに移設、宇宙線による較正ののち、K1.8ラインにて実際のビームを用いてテストを行った。さらに、E40実験の立ち上げとして、ビームラインや磁気スペクトロメータ系の調整を行った。 (2a) 2015年に実施した19ΛFハイパー核精密γ分光実験(E13)のデータ解析を終了し、4本のγ線を同定して19ΛF核のレベル図を構築した。特に基底状態二重項の間隔は、事前の理論予想とよく一致し、軽いハイパー核と重いハイパー核でのΛ核子相互作用がともによく理解されていることが分かった。この結果をPRLに論文発表し、KEK・東北大・J-PARC三者でプレス発表した。こうした精密分光をより重いハイパー核へと進め、Λ核子相互作用の密度依存性を調べることで、中性子星のハイペロンパズルの解決につながる可能性がある。 2b) データ取得済の中性子過剰ハイパー核6ΛHの生成実験(E10-1)について詳細な解析を完了し、バックグランドをさらに低減して生成断面積の上限を大きく下げ、結果を論文発表した。またその結果からΛN-ΣN結合を含むΛN相互作用の情報を引き出す研究を理論家(D01班の原田氏)と共同で進め、論文を投稿した。2015年にE13実験の際にデータ取得した4ΣHeハイパー核生成実験の詳細解析を進めた。 (3) 2015年にデータ収集したK中間子原子核状態の探索実験(E15)について3He(K-,pΛ)n反応のデータ解析を行い、K-pp閾値よりかなり深く束縛したK中間子束縛状態の生成を明確に示す結果を得て、国際会議等で発表した。
|