計画研究
ASTRO-H衛星の打ち上げ後ただちに解析を行うための、解析ソフトウェアの開発を進めた。 地上試験装置の読み出しソフトウェアの整備やその確認をへて、マイクロカロリメータ(SXS)の分光性能を活かした観測、硬X線や軟ガンマ線を含めた広帯域な観測を実施するための検出器の試験を実施し、性能を評価した。軟ガンマ線検出器の地上試験装置を用い、偏光観測に対する性能評価のため、SPring-8で実験を行った。打ち上げ後観測すべき天体、特に中性子星の選定のための検討作業を進めた。ASTRO-H衛星は平成28年2月17日、打ち上げられ、「ひとみ」と命名された。打ち上げ後,マイクロカロリメータのエネルギー分解能が要求性能を満たしていることを確認し、X線CCD (SXI)、硬X線イメージャ(HXI)、軟ガンマ線検出器(SGD)の立ち上げが行われた。ASTRO-H衛星を用いて、中性子星の重力赤方偏移が探れるための具体的な検討をおこなった。宇宙ステーション搭載のX線全天モニター MAXI で捉えた、低質量X線連星系におけるX線バーストを系統的に解析し、その特徴などをまとめた。次世代の衛星開発として、米国 NASA と共同申請していたX線偏光観測衛星 PRAXySが、概念設計フェーズに選定された。この申請の中で、次世代の中性子星観測装置として、X線偏光計開発を主導し、系統誤差などの特性調査を米国と共同で実施した。フェルミ・コラボレーションでの共同研究により銀河系外パルサーからのガンマ線を初めて検出し、サイエンス誌に発表した。そのフォローアップのガンマ線解析を行った。将来の衛星計画のために,高い計数下で優れた分光性能を示すCMOSセンサーの検討を行ない、試作を開始した。
3: やや遅れている
2015年度に関しては順調に計画は進み、ASTRO-H衛星を無事打ち上げることに成功した。本研究で重点的に研究をおこなった、パルス解析装置の高計数率化の部分は、軌道上でも想定通りに動作した。また、並行して進めている耐高計数のシリコンセンサの試作もおこなった。偏光観測についても、米国 NASA と共同申請していたX線偏光観測衛星 PRAXySが、概念設計フェーズに選定された。一方で、ASTRO-H(ひとみ)衛星は3月26日に軌道上不具合が発生し、運用を停止せざるをえない状況になった。そのため、次年度にASTRO-H衛星を用いて行う事が予定されていた計画を変更せざるをえない。
ひとみ衛星の不具合をうけて、ひとみ衛星による観測は実現しない状況にある。そのため、本研究の目的の一つとして掲げられていた検出器開発や、X線衛星やガンマ線衛星、また、チェレンコフTeV望遠鏡などのデータを用いた観測的研究や理論的研究などをすすめ、可能な限りの成果をあげる。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Nuclear Instruments & Methods in Physics Research. Section A, Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 806 ページ: 5, 13
10.1016/j.nima.2015.09.081
PASJ
巻: N/A ページ: 1-14
10.1093/pasj/psv125
巻: 787 ページ: 207,211
doi:10.1016/j.nima.2014.11.119
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 456 ページ: L84-L88
10.1093/mnrasl/slv177
Science
巻: 350 ページ: 801-805
10.1126/science.aac7400
http://astro-h.isas.jaxa.jp