研究領域 | 多面的アプローチの統合による計算限界の解明 |
研究課題/領域番号 |
24106002
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牧野 和久 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (60294162)
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研究分担者 |
河村 彰星 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (20600117)
垣村 尚徳 東京大学, 総合文化研究科, 講師 (30508180)
小林 佑輔 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (40581591)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 計算量 |
研究概要 |
本研究では,(1) 数理論理学的な解析手法を直接適用する,あるいは,(2) 計算限界解明のための標準的な手法である情報理論・符号理論 (A02班)に基づく手法や領域・回路計算量 (A03班)からの解析技法,さらに,境界他分野 (統計力学(C01班),量子力学(C02班),学習理論(C03班))の手法を数理論理学の視点から捉え直す,ことにより計算限界における重要問題の解決を試みる.また,数理論理学的な計算量理論の新しい基礎理論の展開,および,数理論理学に由来する新しい解析手法の開発も目指す さらに,上記の研究成果を逆利用することで数理論理学的なアイデアに基づいた効率的なアルゴリズムの開発を目指す.特に,計算能力の本質を明らかにするため,以下の4つの差異:A) 回路,論理式などの計算モデル,B) 決定的計算と乱択計算,C) 整数計算と実数計算,D) オンライン計算とオフライン計算,に着目し,計算限界解明の研究を行った. 具体的には,上記の差異に関連して,さまざまな成果を得た.特筆すべき点として,A)に関しては,深さを限定した場合の回路と論理式の計算能力の違いについて新しい知見を得て取り纏めている.2013年度の成果を参照されたい.また,C)に関しては,実数関数の計算量に対して,新しくパラメ-タ化した計算量を導入することにより,実数関数の世界に新たに計算階層の概念を導き出すことに成功している.また,それ以外にもキャッシュに関連する有名な未解決な問題に関してNP困難であることも示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では,計算能力の違いにおいて重要な論理回路と論理式の違いに関して大きな知見を得ている。また,実数関数の計算量に関しては,まだ未整備である部分に対して,新しくパラメ-タ化した計算量を導入することにより,実数関数の世界に新たに計算階層の概念を導き出すことに成功している.これらの成果は計算理論分野において非常に重要で大きな成果である.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,上記の4つの差異:A) 回路,論理式などの計算モデル,B) 決定的計算と乱択計算,C) 整数計算と実数計算,D) オンライン計算とオフライン計算,が計算能力にどのような違いをもたらすかを中心に研究を行う予定である.特に,これまでに得られた成果をさらに拡張,発展させること,また,得られた成果の限界も示す予定である.
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