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2014 年度 実績報告書

情報理論・符号理論からの計算限界研究

計画研究

研究領域多面的アプローチの統合による計算限界の解明
研究課題/領域番号 24106003
研究機関国立情報学研究所

研究代表者

河原林 健一  国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (40361159)

研究分担者 伊藤 大雄  電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50283487)
玉置 卓  京都大学, 情報学研究科, 助教 (40432413)
吉田 悠一  国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (50636967)
脊戸 和寿  成蹊大学, 理工学部, 助教 (20584056)
研究期間 (年度) 2012-06-28 – 2017-03-31
キーワード性質検査 / グラフ
研究実績の概要

(1)オイラー種数の計算における近似アルゴリズム
グラフのオイラー種数を計算することはグラフ理論やトポロジーの分野で非常に重要な問題の1つである.この問題に関する様々な研究が行われてきたが,近似アルゴリズムに関する結果は存在しておらず,オイラーの性質から直ちに導かれる,自明なO(n/g)の近似アルゴリズムが知られているだけである(gは種数).本研究では, オイラー種数の計算に対して,自明でない近似アルゴリズムを示した.さらに,これまで知られているオイラー種数の小さなグラフに対するアルゴリズムは,曲面への埋め込みがわかっていることを前提としていたため実際に利用できるかは未知であったが,本結果はその埋め込みを実際に与えるため,アルゴリズムの設計に幅広く応用することが可能である.

(2)隣接リストモデルにおける森の同型性検査
ある性質Pを検査するとは,入力が与えられたときに,その入力が性質Pを満たす場合は(高い確率で)受理し,性質Pを満たすには「ほど遠い」時には(高い確率で)拒否することを言う.本研究では,2つの森(グラフ)が与えられたときに,その2つが同型なのか,それとも同型からはほど遠いのかを検査する隣接リストモデル上の検査アルゴリズムを提案し,その質問計算量がlog nの多項式であることを示し,さらに,もしグラフが森であれば,どんなグラフの性質もlog nの多項式の質問計算量で検査可能であることを示した. 本結果は隣接リストモデル上のグラフ性質検査について進展を与えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)研究計画の進捗
研究計画で挙げた項目について以下の進捗があった.「列線形時間計算の可能性と限界の詳細を解明」に関して,研究実績の概要で述べたとおり,隣接リストモデルにおける森の性質検査が劣線形時間で検査可能であることを示した.また種数の小さなグラフに対する曲面への埋め込みアルゴリズムを提案した.
(2)研究成果の公表
本年度は雑誌論文(査読あり)10本,学会発表(査読あり)18件の発表を行った.理論計算機科学における最も権威のある国際会議STOC(3件)を筆頭にいずれも各分野で権威のある学術雑誌,国際会議での発表である.

今後の研究の推進方策

前述の通り,研究はおおむね順調に進展している.
次年度は中間評価で指摘された点を考慮し,今後,どの研究に重点を置いて進めていきべきかを決定し,他の班とも協力しながらより組織的に研究を進めていく.

昨年度ポスドクを雇用する予定であったが、適切な人材がなかなか見つからず、年度内に
雇用開始できなかった。領域会議で呼びかけたり、国内外の学会に出張する度に
色々声をかけ、そして実際に外国から中期で博士課程の学生を招聘して試用したり色々努力した結果、当初の予定より遅れたが、2015年度4月よりポスドクを雇用することができた。しかし2014年度内には雇用開始できなかったため、その分の謝金額が大幅に減り、代わりに上記活動(主に招聘旅費)などに使用した。2015年度には年度始めからポスドクの雇用ができたので、当初計画通りに予算を使用できる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Solving Sparse Instances of Max SAT via Width Reduction and Greedy Restriction2015

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Sakai, Kasuhisa Seto and Suguru Tamaki
    • 雑誌名

      Theory of Computing Systems

      巻: 57 ページ: 426-443

    • DOI

      10.1007/s00224-014-9600-6

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Partially Symmetric Functions are Efficiently Isomorphism-Testable2015

    • 著者名/発表者名
      Eric Blais, Amit Weinstein, and Yuichi Yoshida
    • 雑誌名

      SIAM Journal on Computing

      巻: 44 ページ: 411-432

    • DOI

      doi:10.1137/140971877

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Generalized River Crossing Problems2015

    • 著者名/発表者名
      Hiro Ito, Stefan Langerman, and Yuichi Yoshida
    • 雑誌名

      Theory of Computing Systems

      巻: 56 ページ: 418-435

    • DOI

      10.1007/s00224-014-9562-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Generalized Skew Bisubmodularity: A Characterization and a Min-Max Theorem2014

    • 著者名/発表者名
      Satoru Fujishige, Shin-ichi Tanigawa, and Yuichi Yoshida
    • 雑誌名

      Discrete Optimization

      巻: 12 ページ: 1-9

    • DOI

      doi:10.1016/j.disopt.2013.12.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Removable paths and cycles with parity constraints2014

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Kawarabayashi, Orlando Lee and Bruce A. Reed
    • 雑誌名

      Journal of Combinatorial Theory Ser B

      巻: 106 ページ: 115-133

    • DOI

      10.1016/j.jctb.2008.03.007

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 線形サイズ$k$-IBDD充足可能性問題に対する厳密アルゴリズム2015

    • 著者名/発表者名
      脊戸和寿,照山順一,長尾篤樹
    • 学会等名
      第152回アルゴリズム研究会
    • 発表場所
      東京都,電気通信大学
    • 年月日
      2015-03-03 – 2015-03-03
  • [学会発表] Coloring graphs with some forbidden or restricted configuration2014

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Kawarabayashi
    • 学会等名
      The 7th Craocow Conference on Graph Theory `RYTRO’14
    • 発表場所
      Rytro, Poland
    • 年月日
      2014-09-14 – 2014-09-19
    • 招待講演
  • [学会発表] Towards the grid minor theorem for directed graphs2014

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Kawarabayashi
    • 学会等名
      The 23rd Workshop on Cycles and Colourings
    • 発表場所
      Novy Smokovec, High Tatras, Slovakia
    • 年月日
      2014-09-07 – 2014-09-12
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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