研究領域 | 多面的アプローチの統合による計算限界の解明 |
研究課題/領域番号 |
24106007
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
徳山 豪 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40312631)
|
研究分担者 |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報プリンシプル研究系, 教授 (00302977)
堀山 貴史 埼玉大学, 情報メディア基盤センター, 准教授 (60314530)
渋谷 哲朗 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60396893)
|
研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 計算理論 / アルゴリズム / 計算限界 / データ構造 / 情報基礎 |
研究実績の概要 |
計算限界の様々な解析技法の背後にあるアルゴリズムのアイデアを革新的なデータ構造の開発に応用する研究を行う.計算限界の解明で開発され、用いられる多くの手法は、データの効率的な表現、格納通信や検索の高性能化と思想を共有する。本計画研究では、その共有性に目を付けた相互研究を行う.たとえば計算理論における巧妙なデータ表現やハッシュのアイデアなどを活用して革新的な実用データ検索法の開発を行い、実問題への適用を行う。 平成26年度には、徳山が韓国の研究者などと共同で開発した新しいパターン照合アルゴリズムがTheoretical Computer Science誌で発表され、多くの研究者に注目された。また、分担者の堀山を中心に、ZDD構造を活用した列挙アルゴリズムを用いた幾何学データ処理において、従来では考えられなかった10の40乗を超える超巨大な展開図データを圧縮したままで整理し、高速な集合積計算と列挙を可能にすることに成功した。これにより、複数の図形を同時に構築できる展開図の作成が可能になり、これは化学や生物への応用が期待される大きな成果である。また、宇野の提唱している研磨列挙法は、広く注目され、現実のNMRを用いた化学物質構造の探索に用いられ、実社会応用への道が開けている。また、研究分担者の渋谷は、列挙法を用いて、miRMAの分類に挑み、バイオインフォマティクスの実社会応用として注目された。さらに、連携研究者の定兼が提案した圧縮ZDDという新しい圧縮構造は、ZDDをさらにコンパクトにできるものとして高く評価された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文発表、学会発表とも非常に順調に多数の論文を発表しており、その点に関しては期待通りの成果である。 さらに、渋谷により生物学においてゲノムの生成過程を考えた高速検索や、データ列挙を用いた種分けや新たな発見などが得られ 宇野や堀山により、化学物質の列挙手法による新しい探索手法が注目を浴びるなど、当初期待された情報科学や情報工学での応用をはるかに超えた学術応用や実社会応用がえられ、本新学術領域の実社会への影響を与えるという本計画班のミッションとしては非常に成功していると考えられる。その証拠として、分担者の宇野はCRESTの研究代表者として平成27年度から、本計画研究で培った成果を母体にした大規模研究の実施の採択を受け、また、研究分担者の渋谷も別のCRESTプロジェクトの主たるメンバーとして平成27年度から活動を開始するなど、高い評価を受けて、研究の発展が行われている。 また、研究代表者の徳山もビッグデータの研究者として様々な場面で、本研究で構築したアルゴリズム基盤を活用しており、これらは当初の計画を大きく超えて進展していると考えられる。さらに、本計画研究に付随した公募研究の研究も高く評価されており、チームとしての活動も順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
現状までの順調な研究の進展は引き続き続行する。それに加えて、今後、特に新学術領域の他の計画で開発された計算限界技法の実社会応用の検討に重点を置いて、グループ間の連携のコアとなる活動を行う。また、上記にあるように研究分担者の宇野、渋谷がCRESTプロジェクトにエフォートを裂かれるため、彼ら2名のエフォートを下げ、分担金も減額する一方で、堀山の活動分担を増やしている。
|