計画研究
本研究は,ナノプラズマ局所照射により生体機能を制御することで,高効率・低侵襲の新しい遺伝子治療技術を開発することを目的としている.最終年度の本年度は,液相中微小プラズマによる細胞内への遺伝子導入の作用機序を解明するとともに,最終的に生体内で使用する際に問題になる安全性について検証した.1. ナノサイズ電極による液相中微小プラズマに起因する短寿命活性種(OH)の生成量の保持時間依存性を測定したところ,寿命が数msであるOHが数分以上存在していることが観測され,この比較的長時間存在するOHが細胞中への遺伝子導入効率向上に作用している可能性を明らかにした.さらに,海外研究協力者との議論により,液相中での化学反応の連鎖によってOHが消滅・生成を繰り返して存在し続けている可能性が示唆された.2. プラズマ照射生理食塩水を細胞に添加し,細胞内カルシウム濃度及び遺伝子模擬分子YOYO-1の細胞内導入量をリアルタイムイメージング技術を用いて計測したところ,各々の濃度,導入量が有意に上昇するが,保持時間を数分以上に長くすることによって,この効果が弱まることが分かった.さらに,TRPチャネル阻害剤の添加によりそれらの細胞応答が完全に抑制されることから,プラズマ照射に伴い液相中に生成されるOHラジカルが起点となって数分に渡って生成され続ける活性種が,TRPチャネルを介在したカルシウム応答と薬剤分子輸送を誘起している可能性を明らかにした.海外研究協力者との議論により,短時間に化学反応を引き起こす短寿命活性種が導入促進の機構に深く関わっていることが示唆された.3. プラズマを照射した卵細胞および精子を用いて受精させ成長させたところ,有意な異常は観測されなかった.また,プラズマを照射した細胞の生存率及び突然変異頻度を調べたところ有意な差は観測されず,細胞に対するプラズマ照射の安全性を検証できた.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (66件) (うち国際学会 17件、 招待講演 16件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
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