研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108101
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
穐田 宗隆 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (50167839)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 有機金属化学 / π共役系 / 分子素子 |
研究実績の概要 |
申請者らは、分子回路開発を将来的な目標として定めて一次元分子ワイヤーに続く多次元構造体形成に着目して、(1)二次元ポルフィリン骨格や三次元ケージ骨格を中心とするπ共役分子の集積型高次元構造体と酸化還元活性な金属フラグメントを複合化させた化合物を合成して、(2)酸化還元活性金属間相互作用の特性解析結果に基づいて、π共役系分子間相互作用について定量的な機能評価・電子構造解析し、(3)さらに分子デバイス開発につなげることを目的としている。 今年度は、ポルフィリンに酸化還元活性な有機金属フラグメントを導入する方法を開発するとともに、して、得られた錯体の物性評価を行った。金属フラグメントのかさ高さ、π共役系でポルフィリン骨格に連結させること、合成の容易さを考慮してアセチレンを介して連結させる方法を考案し、ポルフィリンに1,2,4個の金属フラグメントを導入することに成功し、二核錯体についてはX線結晶構造解析で構造決定した。 得られた錯体のうち単核錯体については、ポルフィリン-金属フラグメント間のエネルギー移動や電子欠損化合物とのπスタック付加体生成が酸化・還元によって制御できること、ピラジン・4,4’-ビピリジル・DABCOなどのσ配位型二座配位子によって二核化できることを明らかにした。さらに二核錯体については、金属間相互作用が、軸配位によって制御できること、四核錯体についてはこのタイプの錯体としては初めての合成に成功し、次年度その物性を明らかにしていく計画である。 一方、カゴ型多次元化合物については、M2L4型錯体の包接能ならびに発光特性を調査し、その形状選択的取り込みやソルバトフルオロクロミズムなどについて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度から参加したので、短期間に研究成果をあげる必要があったが、幸い計画した化合物の合成には成功したので、一定の成果をあげることができた。物性測定や機能発現についてはこれから共同研究体制を整えて,次年度にはこの方面の成果もあげることができると期待している。
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今後の研究の推進方策 |
9.,11.欄にも記載したとおり、化合物合成に関しては所期の予定通り成果が上がっているので、次年度は本研究の最終年度にあたるので、申請研究の完結に向けて、金属間相互作用や分子間相互作用などの物性の調査に重点を置いて研究を進める計画である。
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