計画研究
本研究では、高周期14族元素などの低配位典型元素化合物を創製し、高度に分極した不飽和結合に由来する反応性の探究を通して、典型元素化合物に関する物質科学研究の新領域の開拓を目指している。独自に開発したかさ高い縮環型立体保護基(Rind基)の導入によりケイ素やゲルマニウムを含む新しい不飽和化合物を合成し、それらの分子構造や化学結合について解明するとともに、結合電子に由来する特異な反応性を開拓することを目的とする。領域内の研究者との連携や共同研究によって、典型元素の本質的特性に基づく新反応を探究し、本領域研究が目指す「感応性化学種」の新しいサイエンスに立脚した革新的な分子変換反応の開発に貢献することを目標とする。平成28年度は「13族元素水素化物」や「15族元素二重結合化学種」に関する研究成果のとりまとめを行った。水素化アルミニウム化合物の合成法を確立し、混合型水素化物「アルマボラン」を単離して分子構造と電子物性について明らかにした。また、ジハロジゲルメンの新規合成法を開発し、溶液中の挙動や反応性を調査してハロゲルミレンやハロゲルミレノイドに関する先端的知見を得た。さらに、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛の一連の14族元素二価化学種「ジアリールテトリレン」を合成し、分子構造と電子物性について実験化学と理論化学の両面から明らかにした。さらに平成28年度は、領域内の共同研究成果として「ピンサー型ホスファアルケン配位子を有する遷移金属錯体」「遷移金属シリリン錯体」「アルミニウムによる水素分子活性化」をとりまとめた。その他、領域内研究者との連携や共同研究を強化して、周期表にある様々な元素の「感応性化学種」に対する「かさ高いRind基の速度論的安定化効果」について検証を行った。典型元素化学に限らず、配位不飽和な遷移金属錯体の創製など、金属錯体化学や触媒化学分野への応用を推進した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (39件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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http://www.kindai.ac.jp/sci/research/forefront_research/matsuo_tsukasa.html