計画研究
アセチレンやベンゼンの高周期元素類縁体は、炭素類縁体とは明らかに異なる反応性を示すことはよく知られている。これはケイ素、ゲルマニウム、スズなどの高周期元素からなる多重結合や高歪み分子では、本質的に電子を収容する軌道サイズやエネルギー準位が炭素の場合とは異なり、光や熱、電気などの外部刺激によって容易に分子構造や電子状態を変化させることができるからである。このような従来のπ共役系分子とは異なった特徴をもつ分子を、外部応答性の高い感応性化学種として積極的に活用することをコンセプトとし、実験的・理論的な検討を行った。その結果、高周期元素を含むπ結合の特徴は、小さなHOMO-LUMO エネルギーギャップや低い酸化・還元電位、長波長領域でのπ-π*遷移等であることを明らかにした。また、σ共役系の拡張や反転四面体角をもつ高歪み分子の構築、折れ曲がったケイ素三重結合化合物の合成に成功した。これらは炭素化合物とは明らかに異なる構造や性質を有しており、通常の有機化学の常識だけでは理解できない現象も多く発見した。またσ共役の発現が知られているポリシラン鎖によってラジカル中心を連結したビス(シリルラジカル)を合成し、スピン間相互作用の解明を行った。高周期典型元素をスピン中心に持つ酸化還元機能をもつ安定なラジカル化合物に関する応用研究では、安全かつ高出力の次世代蓄電デバイスの電極材料開発を重点的に検討した。その結果、有機高周期典型元素ラジカルや超原子価16族元素化合物、およびケイ素ポリマー材料を電極活物質に用いた応用研究において、新学術領域内で共同研究を進めたことで十分な成果を得た。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 2件、 招待講演 12件) 備考 (2件)
J. Mol. Struct.
巻: 1130 ページ: 775-780
10.1016/j.molstruc.2016.11.001
Organometallics
巻: 35 ページ: 346-356
10.1021/acs.organomet.5b00924
J. Am. Chem. Soc.
巻: 138 ページ: 479-482
10.1021/jacs.5b10774
Phosphorus, Sulfur and Silicon
巻: 191 ページ: 609-612
org/10.1080/10426507.2015.1128917
Chem. Eur. J.
巻: 22 ページ: 17585-17589
10.1002/chem.201604480
Russ. Chem. Bull., Int. Ed.
巻: 65 ページ: 1139-1141
1066-5285/16/6504-1139
http://www.strecs.jp/
http://www.chem.tsukuba.ac.jp/sekiguch/