P=C二重結合を有するホスファアルケンは,極めてエネルギー準位の低いπ*軌道をもち,遷移金属に対して強いπ受容性を発揮する.我々は,この特異な配位子特性を用いて,(1)低酸化状態にある鉄,ニッケル,銅などの配位不飽和錯体を効果的に安定化できることを見出した.(2)前例のない平面四角形構造をもつ白金(0)錯体の合成単離に成功した.(3)ノンイノセントな PNP ピンサー型ホスファアルケン配位子を開発し,金属-配位子協同作用によるアンモニアのN-H結合やアセトニトリルのC-H結合の活性化に成功した.また,(4)常温常圧で二酸化炭素のヒドロシリル化を触媒する高活性錯体を開発した.
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