計画研究
超好熱性古細菌A. pernix K1由来ペルオキシレドキシン(ApPrx)やA. pernix K1由来の金属酵素スーパーオキシドディスムターゼ(ApeSOD)の反応中間体の中性子線構造解析や、低温トラップ法による時分割X線構造解析により詳細な反応機構の解明を目指す。中 性子構造解析のための結晶化には1 mm角を超える高品質結晶が必要であり、24年度に続きこれら酵素の大量精製、ミクロ種結晶化法、マクロ種結晶化法を駆使した種結晶化を繰り返し、大型結 晶育成のための結晶化実験に取り組んた。しかし、いずれも多結晶化のため中性子線回折実験には至っていない。一方、時分割構造解析の 可能性を秘めたSACLAのX線自由電子レーザーを用いたX線構造解析(文科省重点戦略研究課題【代表:岩田想】との共同研究)を進 め、チロシナーゼ、Mb、FABP3、NIRの結晶構造を解析した。その結果、MbのFeイ オンの酸化によるヘムの構造変化や、NIRの世界初の完全酸化型構造を観察するなどの成果が得られ、上記2つの標的酵素の反応中間体の構造解析の可 能性について検討することができた。また、エキシマ発光で構造変化が検出可能なピレン修飾アデニル酸キナーゼの構造基盤を構築するために、本修飾酵素の構造解析を行 い、Py-Adk内での修飾ピレンのエキシマ形成の様子が 原子レベルで明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
申請当初の計画通り、専属の研究員を採用し、ApeSODの構造解析など研究はおおむね順調に進展していると考えている。ただし、大型の高品 質結晶の育成では多結晶化の問題で困難を極め、引き続き新たな蛋白質のコンストラクトの作成や大型結晶育成技術の構築を進める一方で、 SACLAの利用や他の酵素での反応中間体の構造解析を進め、順調にデータが得られている。
大型結晶育成が困難で中間体で存在すると思われる水素原子の確認は現時点では困難を極めているが、通常のX線で自由電子レーザーを用いれば反 応中間体の構造を解析できる可能性を見出している。SACLAは現在のところビームタイムの制限が大きいものの、反応中間体の構造解析を可能 とする夢の光であり、今後、溶液中で過酸化水素と反応させた中間体のX線構造解析をSACLAで展開するなどの方法で構造解析を試みたいと考 えている。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
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