研究領域 | 福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学際的研究 |
研究課題/領域番号 |
24110005
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
神田 穣太 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (60202032)
|
研究分担者 |
喜多村 稔 国立研究開発法人海洋研究開発機構, その他部局等, 研究員 (00392952)
西川 淳 東海大学, 海洋学部, 教授 (10282732)
青野 辰雄 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, その他部局等, その他 (20270605)
山口 篤 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (50344495)
高木 省吾 北海道大学, 水産学部, 准教授 (60179421)
土屋 光太郎 東京海洋大学, その他部局等, 准教授 (60251683)
立田 穣 一般財団法人電力中央研究所, その他部局等, その他 (60371522)
林 敏史 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (70228584)
野田 明 東京海洋大学, その他部局等, 教授 (80262343)
渡辺 豊 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (90333640)
|
研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
|
キーワード | 環境放射能 / 沿岸海域 / 外洋域 / 海洋生態系 |
研究実績の概要 |
H27年度は、当初計画通りに東京海洋大練習船による福島沖航海を2回実施した。また北海道大学練習船による福島沖航海、学術研究船新青丸による原発周辺海域航海に参加した。採集した堆積物、懸濁粒子、プランクトン、ベントス試料に関してゲルマニウム半導体検出器を用いたγ核種の分析を行い、放射性セシウム濃度の時空間変動を明らかにした。また、傭船観測により福島第一原発近傍において、放射性セシウム濃度の低下が他の魚種に比べて遅れる傾向にある岩礁性魚シロメバルとその主な餌料生物であるアミ類の採集を行い、さらにアミの餌となる懸濁粒子の採集を行った。耳石によるシロメバルの年齢査定を行った結果、8才以上の高齢魚ではセシウム137の生態学的半減期はほぼ同じで、約300日であった。懸濁粒子については、サンプルを分割して測定した際に、サブサンプル間でのセシウム137濃度が大きく異なることから、イメージングプレートによるオートラジオグラフィーを行った結果、小数の極めて高い線量の粒子が存在し、それが不均一に分布することが放射能濃度のばらつきに寄与していることが判明した。同様の高線量粒子は、プランクトンや、堆積物試料中からも見つかり,単離して元素分析等を実施している。 これまでの調査結果の解析を並行して行っており、メソ動物プランクトンの分布、現存量、2011年春におけるプランクトン食物網(海水→植物プランクトン→植食性動物プランクト)におけるCsの移行状態の推定、北太平洋外洋域の2測点における動物プランクトン中の放射性セシウムの時間的推移、などについて研究成果のとりまとめを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
練習船航海による試料採取は本研究期間の当初から行ってきたが、1航海で多数の試料が得られるため、測定器の不足から分析が遅れ気味であった。H25年度末に、2台目のゲルマニウム半導体検出器を入手することができたため、H26年度は順調に測定を進めることができるようになり、各種試料における放射性セシウム濃度の時空間変動の解析が進んだ。また堆積物の粒度粒径や有機物含有量の計測も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度となるため、蓄積したデータを解析することに重点を置く。昨年度より開始した植物プランクトンへの放射性セシウム取込実験の結果を用いて海水から生物への移行プロセスを解析する。シロメバルに関しては、放射性セシウムの濃度変化を高濃度汚染水からの取込、餌生物からの取込、年齢による排出速度の差等を考慮した数値シミュレーションにより明らかにする。また、各試料中の高セシウム線量粒子を単離し、EPMA、SEM-EDS等により構成元素を分析して海洋への拡散経路を明らかにする。また、6月に北海道大学練習船「おしょろ丸」航海、10月に東京海洋大学練習船「神鷹丸」航海を実施し、時系列データを取得する。
|