計画研究
胸腺は、免疫システムの司令塔として自己と非自己の識別を担うTリンパ球を分化させるとともに、産生するTリンパ球の抗原認識特異性が自己生体に有用でしかも寛容であるように選択する器官である。しかし、Tリンパ球の分化と選択を担う胸腺の微小環境を特徴づける皮質上皮細胞と髄質上皮細胞の分化と機能、特にそれらを裏打ちする分子機構は未だ明確ではない。私たちは皮質上皮細胞に特異的に発現され、CD8T細胞の正の選択に必要な胸腺プロテアソームとその構成鎖beta5tを同定するとともに、髄質上皮細胞に高く発現されT細胞の自己寛容確立に必須のケモカインCCL21とサイトカイン受容体RANKを見出し、胸腺微小環境の形成と機能を担う分子機構解析に先鞭をつけてきた。そこで本研究では、これら胸腺微小環境を特徴づける分子の機能解析と更なる分子同定を推進した。平成28年度の成果としては、beta5tの遺伝子発現制御機構に関して、beta5t発現が転写因子Foxn1の欠損マウスで著明に減少することから、beta5t遺伝子座近傍に存在するFoxn1結合配列を同定した。そのうえで、当該配列を変異させたマウスを作製して形質解析を行うことで、当該配列へのFoxn1結合が実際にbeta5tの至適発現に必須であることを見いだした。以上の結果により、転写因子Foxn1による胸腺上皮細胞機能の直接的な制御機構が初めて明らかにされるとともに、胸腺上皮細胞の機能分子beta5tの転写制御機構の一端が初めて示された。また、CCL21の一分子種CCL21Serを欠損するマウスを作製することで、CCL21Serが胸腺上皮細胞による胸腺細胞の誘引と自己寛容確立に必要不可欠なケモカインであることを明らかにした。更に、これまでの胸腺上皮細胞の機能と分化に関する研究成果を総括する論説の執筆を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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