計画研究
本研究では、X線結晶構造解析と電子顕微鏡イメージングという分解能の異なる手法を併用し、免疫-神経インターフェースの素反応を司る分子実体の構造生物学的解明を目指した。研究1(インテグリン受容体系):α6β1インテグリンについては、抗β1抗体TS2/16のFv-clasp(本研究室で最近開発した新規デザイン抗体フラグメント)との複合体との形で結晶化に成功し、まずは3.37Å分解能で、続いて年度末には2.9Å分解能での回折データ取得に成功し、ついにその結晶構造決定を果たした。現在論文執筆中である。また、これと同時にα6β1インテグリンの生理的リガンドであるラミニンについて、その構造解析を関口清俊博士と共同でおこない、こちらも1.9Å分解能で構造決定に成功した。研究2(セマフォリンシグナル系): Sema4Dシグナルを阻害する環状ペプチドを取得し、そのターゲットであるヒトPlexin B1との複合体の構造決定を果たしていたが、これについて論文をCell Chem. Biol.誌に発表した。また、当該ペプチドをもとにマウスPlexinB1にも結合できるように改変したペプチドを得て、その動物実験への応用を開始した。さらに、別のペプチドが阻害剤ではなくアゴニストとして働くことを見いだし、培養細胞を用いたアッセイ系を用いてその構造最適化を進めた。研究3(神経、ニッチ細胞系):ニューロン特異的受容体蛋白質sorLAについては、抗体のFv-claspフラグメントとの共結晶化によりこれまでより高い分解能(2.9Å)でのペプチドリガンド包接型構造を決定することに成功した。ニッチ細胞から産生され幹細胞の維持や分化に必須な難水溶性Wnt蛋白質について、その補助受容体であるLRP6の細胞外ドメインの電子顕微鏡による可視化に成功し、Wntシグナル伝達メカニズムに関する重要な知見を得て論文として報告した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 5件、 招待講演 7件) 産業財産権 (2件)
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