研究領域 | 免疫四次元空間ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
24111007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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研究分担者 |
戸村 道夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314321)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫応答 / 細胞運動 / 低分子量Gタンパク質 / 蛍光プローブ |
研究実績の概要 |
本研究では、免疫の場の重要な機能として免疫応答を捉え、1)免疫細胞の動態とその制御機構を解明すると同時に、2) 新たなマルチラベリング臓器間細胞動態評価系を開発し、器官内微小環境におけるリンパ球の状態変化と器官間移動の四次元数量的解析を行うことで、リンパ器官連携の実体を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の成果を得た。 1) ノックアウトマウスを新たに作成することで、DOCK8を欠損した樹状細胞は、リンパ節実質への集積が障害されており、その結果T細胞を活性化できないことを見出した。DOCK8欠損樹状細胞は、障害物のない二次元環境下では正常に動くことできるが、コラーゲンファイバー間隙の遊走や、subcapsular sinus floorの通過がひどく障害されていた。以上より、DOCK8が三次元微小環境下での細胞運動を選択的に制御することが示唆された。 2) DOCK8が制御する低分子量Gタンパク質を探索した結果、Cdc42特異的なGEFとして機能することを明らかにした。DOCK8欠損樹状細胞において、Cdc42の活性化は障害されていなかったが、活性化したCdc42が先導端の膜に局在せず、結果として、アメーバ様の極性形成と運動性が顕著に障害されていた。以上より、DOCK8は活性化Cdc42の局在を制御することで、樹状細胞の間質組織内での遊走を制御していることが明らかとなった。 3) マルチラベリング臓器間細胞動態評価系の開発に向けて、組み合わせる色変換蛍光タンパク質の選定を行い、紫光で緑から赤に変色するKikGRと、緑色光で黄からシアンに変色する蛍光タンパク質を選定した。また、単一細胞レベルでの遺伝子発現解析における次世代シーケンサー(NGS)の可能性を検討し、NGSはサンプルにバルクの細胞を用いるRNAseqに、より適していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DOCK8がCdc42特異的なGEFとして機能し、樹状細胞の三次元微小環境下での遊走を制御することを明らかにすると共に、その制御機構の詳細解明に向けていくつかの重要な知見を得た。このため、研究は順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進行しており、今後多くの成果が得られると期待される。次年度は、分担研究者との共同研究をより一層活発にし、重要な成果に関しては、HPやマスメディア等を利用して広く国民に発信したい。
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