計画研究
本研究では、免疫の場の重要な機能として免疫応答を捉え、1) 免疫細胞の動態とその制御機構を解明すると同時に、2) 新たなマルチラベリング臓器間細胞動態評価系を開発し、器官内微小環境におけるリンパ球の状態変化と器官間移動の四次元数量的解析を行うことで、リンパ器官連携の実体を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の成果を得た。1) DOCK8がマクロファージの遊走に重要な役割を演じることを見いだし、その制御においてGEF活性の重要性を実証した。また、DOCK8会合分子の探索を行い、その作用機序を解明すると共に、in vivoでの機能解析のためにコンディショナルKOマウスを新たに作製した。2) DOCK8が自然リンパ球ILC3の発生・分化に重要な役割を演じることを見い出し、コンディショナルKOマウスを用いてその作用機序を解析した。3) DOCK8の遺伝子改変マウスがIL-31依存性に重篤なアトピー様皮膚炎を自然発症することを見いだし、遺伝子発現解析や機能解析を通して、IL-31産生のマスター制御因子を同定した。4) DOCK2がBCRの下流において機能する主要なRac GEFであることを見出すと共に、IgG抗体産生を選択的に制御していることを明らかにした。5) DOCK8欠損 KikGRマウスを用いて、皮膚および腸管から移行する細胞を解析したところ、いずれの臓器においても、樹状細胞の移行が顕著に低下していることを見いだした。6) 接触性皮膚炎から分画した制御性T細胞(Treg)の単細胞レベルのqPCR array解析と統計学的手法を用い、Tregの新しいサブセットであるIl10/GzmB 発現CD43+CCR5+細胞を同定し、その機能を解析した。
2: おおむね順調に進展している
樹状細胞やマクロファージ、エフェクターT細胞におけるDOCK8の機能や制御機構を明らかにすると共に、ヒトDOCK8欠損症の病態に迫る大事な知見を得た。また、研究分担者と連携することで、個体レベルでの機能も明らかになりつつあり、研究は順調に進行していると言える。
研究は順調に進行しており、免疫細胞の動態制御機構に関して、多くの成果が得られると期待される。次年度は最終年度であるため、分担研究者との連携を一層強固なものにし、個体レベルでの機能解析を推進すると共に、重要な成果に関しては、HPやマスメディア等を利用して広く国民に発信する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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