計画研究
本研究は加齢に伴う免疫系恒常性と応答性の変容を、免疫系機能の中枢にあるT細胞系に焦点を当てて解析し、免疫老化が個体の恒常性維持と病態発生に与える影響を明らかにすることを目的とする。繰り越し経費による最終年度は、私達が発見報告したユニークなT細胞集団 (Senescence-associated T cells, SA-T)の生理的加齢にともなう増加のメカニズムの検討を進めた。若齢マウスでの胸腺摘除や老齢マウスでの胎児胸腺移植などを用いた解析の結果、加齢にともなうSA-T細胞の増加と蓄積には、生理的胸腺退縮とそれに伴うT細胞の恒常性増殖の亢進が一義的に重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、SA-T細胞が選択的にCD153分子を構成的に発現することから、生体内でCD153を特異的に除去しうる活性を有する新たな抗CD153抗体の作成を進め、体内投与によって効率的かつ選択的にSA-T細胞を除去しうるモノクローナル抗体の確立に成功した。さらに同抗体の投与により、ループスモデルマウスにおいてSA-T細胞の増加がほぼ完全に抑制され、同時に自己抗体の産生やループス腎炎の発症がほぼ完全に予防および治癒されうることが示された。これらの結果はSA-T細胞が全身性自己免疫病の発症に重要な役割を担うことを確認するのみならず、ループス病を含む多様な加齢関連慢性炎症疾患の制御の画期的な方途の展望を開くものである。今後は、多様な前臨床試験などにより、SA-T細胞の制御による疾患制御が重要な課題になるものと考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2016
すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 3件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 9件、 招待講演 9件) 図書 (1件)
Cancer Science
巻: 109 ページ: 587~599
10.1111/cas.13491
The Breast
巻: 38 ページ: 114~119
10.1016/j.breast.2017.12.017
Nature Communications
巻: 9 ページ: 914
10.1038/s41467-018-03307-8
Blood Advances
巻: 2 ページ: 534~548
10.1182/bloodadvances.2017013599
Journal of Leukocyte Biology
巻: in press ページ: in press
10.1002/JLB.1HI1017-396RR
PLOS ONE
巻: 12 ページ: e0173629
10.1371/journal.pone.0173629
JCI Insight
巻: 2 ページ: pii: 93664
10.1172/jci.insight.93664
The Journal of Immunology
巻: 199 ページ: 138~148
10.4049/jimmunol.1602005
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 5987
10.1038/s41598-017-05553-0
Cell Struct Funct
巻: 42 ページ: 149-157
10.1247/csf.17018
Immunological Reviews
巻: 271 ページ: 38~55
10.1111/imr.12412
Journal of Clinical Investigation
巻: 126 ページ: 1367~1382
10.1172/JCI81522
Nature
巻: 534 ページ: 402~406
10.1038/nature18294
巻: 1 ページ: e87680
10.1172/jci.insight.87680
巻: 197 ページ: 2177~2186
10.4049/jimmunol.1600987
巻: 126 ページ: 4626~4639
10.1172/JCI88606
Journal of Translational Medicine
巻: 14 ページ: 295-310
10.1186/s12967-016-1059-6
ChemMedChem
巻: 11 ページ: 2656~2663
10.1002/cmdc.201600465