計画研究
本研究は高い免疫誘導能を発揮し長期間安定なヒト型リンパ節組織を人工的に構築することを目的とした。ヒト間葉系幹細胞株よりlymphotoxin-β 受容体及びリンパ組織特異的ケモカイン、接着因子分子群を発現しているヒトストローマ細胞クローンを確立した。ストローマ細胞とヒトI型コラーゲンペプチドを混合培養してヒトストローマ細胞のスフェロイドを形成させた。このスフェロイドとヒト末梢血リンパ球を混合しLTβR受容体に対するリガンド LTα1β2を加えて、免疫細胞を完全に欠損した免疫不全マウス(NSG, NOG)の腎臓被膜下に移植した。2-3週間後に100%の確率で数ミリ大のリンパ球塊の形成が得られた。作製した人工免疫組織は以下のような特性を有する。1)ヒトT細胞、B細胞、樹状細胞から構成されている、2)T細胞領域とB細胞濾胞領域が明確な区別、3)胚中心が形成され抗原刺激でB細胞の活発な増殖が誘導される、4)B細胞領域にはストローマ細胞由来の濾胞樹状細胞(FDC)が認められ、抗原刺激により抗原特異的高親和性抗体産生細胞が人工リンパ節内に多数出現する、5)高内皮細静脈(HEV)が形成され、毛細血管網、機能的な小血管が発達、6)多数の機能的な毛細リンパ管が形成,7)リンパ節T細胞領域に精緻に張り巡らされたストローマ細胞由来の線維芽様細網細胞(FRC)ネットワークが構築されている。7)ヒト人工リンパ節組織の構造は免疫不全マウス体内で長期間安定である、8)人工リンパ節組織は容易に摘出、他の個体への再移植が容易である、9)人工リンパ節組織内およびその移植個体において自己抗体の産生は全く惹起されない、10)人工リンパ組織には皮質、髄質構造、リンパ組織の外側の皮膜構造を持たない三次リンパ組織と見なされる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)
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