研究領域 | ユビキチンネオバイオロジー:拡大するタンパク質制御システム |
研究課題/領域番号 |
24112002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 一宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252459)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | ユビキチン / NF-kappaB / 直鎖状ポリユビキチン鎖阻害剤 / B細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では以下の4点から研究を遂行した。 1. 直鎖状ポリユビキチン鎖によるNF-κB活性化機構の生理的および病理的役割の解析:LUBACはHOIP、HOIL-1L、SHARPINの3種のサブユニットから構成され、HOIPが活性中心、HOIL-1LとSHARPINがアクセサリー分子として機能している。HOIL-1L欠損マウスは顕著な症状を呈さないが、SHARPINを欠損したcpdmマウスは慢性皮膚炎などの多彩な慢性炎症症状を呈する。本年度は、B細胞特異的にHOIPを欠損したマウスを中心に、LUBACによるM1鎖形成の生理学的および病理学的役割を解明し、現在EMBO Journalにリバイス中である。 2. NF-κB活性化におけるVCP/p97の関与の解析:VCP/p97はユビキチン鎖を認識して作用するタンパク質であり、HOIP と結合する。そこで、VCP/p97との結合ドメインであるPUBドメインに着目してNF-κB活性化への関与を検索をすすめており、現在論文投稿準備中である。 3. 直鎖状ポリユビキチン鎖生成阻害剤の開発:LUBACによる直鎖状ポリユビキチン鎖形成はNF-κBに選択性が高いので、選択的NF-κB抑制剤の優れたターゲットである。すでに、LUBACによるM1鎖形成の阻害化合物を同定しているので、同定した阻害化合物の作用機構の研究を進め、現在投稿準備中である。 4. ポリユビキチン鎖選択的検出系の開発とその応用:他の計画研究と共同してM1鎖等に選択的に識別する高親和性抗体の樹立、種々の鎖長のK6、K11、K48、K63、M1鎖の試験管内合成系を樹立してユビキチン研究のインフラ整備の準備に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次項に示す理由で当初は動物実験でやや遅滞があったが、最終的には首尾良く進捗してほぼ計画通りの進捗となった。次年度には今年度の成果のいくつかを誌上発表できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は当研究開始直前の平成24年4月に京都大学に異動した。当初の予定よりも前任地からの動物(マウス)の移動に遅滞があったが、最終的には研究の遅滞はなかった。次年度以降も不慮のトラブルが生じる可能性を考慮し、計画的な実験の推進に尽力したい。
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