計画研究
ユビキチン修飾系は分解のみならず多様な様式でタンパク質の機能を制御する翻訳後修飾系である。研究代表者はユビキチンN末端のメチオニンを介して形成される直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖)を選択的に生成するLUBACユビキチンリガーゼを発見し、LUBACによるM1鎖形成が種々の刺激依存的なNF-κB活性化に関与することを報告してきた。本研究では多様なユビキチン修飾:ユビキチンコードによる多彩な細胞機能制御機構の解明の一環として、研究代表者が世界に先駆けて同定したM1鎖の生理的、病理学的役割、選択的M1鎖生成メカニズム、M1鎖生成阻害剤の免疫・アレルギー疾患治療薬としての可能性を検索することを目指し、本年度は以下の2点から研究を遂行した。1.直鎖状ユビキチン鎖によるNF-κB活性化機構の生理的および病理的役割の解析 a) LUBACはHOIL-1L、SHARPIN、HOIPに3種のサブユニットから構成され、HOIPが活性中心、SHARPIN、HOIL-1Lがアクセサリー分子として機能している。本年は直鎖状ポリユビキチン鎖による細胞死制御の分子メカニズムの解析を進め、SHARPINのNZFドメインがHOIPと協調してLUBACのTNF受容体への集積に寄与することで細胞死を抑制していることを示した。b) LUBACによる直鎖状ユビキチン鎖形成能を喪失したマウスB細胞におけるTLR4依存的な細胞死亢進機構を検索した。TLR4は他のほとんどのTLRと異なり、MyD88に加えてTRIFもシグナル分子として用いる。LUBACの酵素活性の欠失によりTRIF依存的に細胞死が亢進することを示した。2.直鎖状ユビキチン鎖生成におけるHOIL-1L、SHARPINの役割の解析 a) HOIL-1L、SHARPINが直鎖状ユビキチン鎖形成に促進的に作用を検索しUBLが関与することを示した。
2: おおむね順調に進展している
当初の想定通り順調に研究を展開しているが、他グループからリガーゼ活性の亢進メカニズムに関する未発表情報を入手したので、項目2について研究計画を変更して実施した。
項目2以外は当初の計画通り遂行する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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