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2012 年度 実績報告書

K6およびK63ユビキチン鎖によるDNA修復制御機構

計画研究

研究領域ユビキチンネオバイオロジー:拡大するタンパク質制御システム
研究課題/領域番号 24112005
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

太田 智彦  聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60233136)

研究期間 (年度) 2012-06-28 – 2017-03-31
キーワードユビキチン / BRCA1 / DNA修復 / 乳癌 / 薬剤感受性
研究実績の概要

本計画研究の目的は、DNA相同組換え修復(HDR)経路でユビキチン修飾が果たす役割を解析する一方で、ガンにおけるこのメカニズムの異常を検出し、治療標的とバイオマーカー開発の基盤となすことである。平成24年度は下記の結果を得た。
1)各種DNA損傷に対するHDRにおけるE3活性の役割については、研究者らは平成24年度前期までの研究結果から、BRCA1のE3活性がDNA一本鎖損傷をきたすCPT11およびPARP阻害剤によるDNA損傷時の複製後修復経路においてClaspinのユビキチン化を介してChk1のリン酸化およびDNA相同組換え修復に必須であることを明らかにしたが、この知見をさらに詳細に解析するためにTALEN法を用いてBRCA1遺伝子改変HCT116細胞を作成した。
2)ヒストンおよびヘテロクロマチン形成とBRCA1との関わりに関してはBRCA1とダイマーを形成するBARD1がクロマチン上でHP1を介してメチル化ヒストンH3に結合することを明らかにした。また、NPM1もヒストンのみならず、HP1と直接結合することがわかった。
3)BRCA1-BARD1とE2(UbcH5)を用いてユビキチンK6鎖の試験管内合成系を樹立した。これをスクリーニング系に用いて抗K6抗体の樹立を試みた。K6ユビキチン鎖ペプチドにてウサギを免役してポリクローナル抗体を作成したが、K6鎖への特異性は十分ではなかった。そこでモノクローナル抗体を作成すべく、マウスを免役して脾細胞とNS-1細胞のハイブリドーマを作成した。
4)ガン治療のバイオマーカーの解析については、乳ガン検体におけるユビキチン関連HDR遺伝子の体細胞変異を解析するための半導体マイクロチップ次世代シークエンサーの条件設定が完了した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各種DNA損傷に対するHDRにおけるE3活性の役割を解析するための細胞の感受性と修復因子の核内 foci形成を指標としたsiRNAスクリーニングについてはRAD51のoff-target effectの問題から研究が進んでいないが、それに代わり、TALENを用いた遺伝子改変技術の応用に取り組んでいる。その他の研究については概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

平成25年度は下記を行う予定である。
1)TALEN法にて作成したE3死活型BRCA1変異I26AノックインHCT116細胞を用いてヘテロクロマチン領域の相同組換え修復の解析を行う。また、エストロゲン受容体による転写によって引き起こされるDNA損傷がBRCA1のE3活性によって変化するか否かを解析する。
2)BARD1とHP1ならびにNPM1の相互作用の解析を行い、結合を阻害する変異の同定とその表現型の解析を行う。
3)ユビキチンK6鎖モノクローナル抗体を作成する。
4)乳ガン検体におけるユビキチン関連HDR遺伝子の体細胞変異を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A DNA-Damage Selective Role for BRCA1 E3 Ligase in Claspin Ubiquitylation, CHK1 Activation, and DNA Repair.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato K
    • 雑誌名

      Curr Biol.

      巻: 22 ページ: 1659-66

    • DOI

      10.1016/j.cub.2012.07.034

    • 査読あり
  • [雑誌論文] BRCA1とDNA損傷応答2012

    • 著者名/発表者名
      セドキーナ アンナ
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 84 ページ: 637-640

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「乳癌―基礎と臨床の最新研究動向―」Ⅲ 乳癌の分子生物学と発癌機序 1.分子生物学 (2)癌遺伝子と癌抑制遺伝子2012

    • 著者名/発表者名
      福田 貴代
    • 雑誌名

      日本臨牀

      巻: 9 ページ: 66-70

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 乳癌治療におけるユビキチン修飾2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤 工
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 243 ページ: 520-524

    • 査読あり
  • [学会発表] Agent-specific cellular chemosensitivity attributed to loss of BRCA1 E3 ligase activity2012

    • 著者名/発表者名
      太田 智彦
    • 学会等名
      15th International Congress on Hormonal Steroids and Hormones Cancer
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県)
    • 年月日
      2012-11-15
  • [学会発表] DNA replication and checkpoint regulated by HERC2 and BRCA1 E3 ubiquitin ligases2012

    • 著者名/発表者名
      太田 智彦
    • 学会等名
      第71回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      さっぽろ芸文館(北海道)
    • 年月日
      2012-09-19
  • [備考] 聖マリアンナ医科大学大学院 医学研究科 応用分子腫瘍学

    • URL

      http://www.marianna-u.ac.jp/t-oncology/index.html

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公開日: 2018-02-02  

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