研究領域 | ユビキチンネオバイオロジー:拡大するタンパク質制御システム |
研究課題/領域番号 |
24112006
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
嘉村 巧 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40333455)
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研究分担者 |
畠山 鎮次 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70294973)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | タンパク質分解 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
ユビキチン修飾系は、時空間的選択性をもってタンパク質を識別し、ポリユビキチン鎖などの多様な様式のユビキチンを結合させることでタンパク質の機能を制御することにより、様々な生命現象に重要な働きを果たしている。中でも、基質特異性を決めるユビキチンリガーゼ(E3)の研究は、ユビキチン修飾系の中核をなす研究である。ユビキチンネオバイオロジーを理解するためには、ヒトに約600種存在するE3が時空間的選択性をもって識別する特異的基質の同定とその機能解明が不可欠である。近年の質量分析法の技術進歩およびデータベースの充実により微量タンパク質の同定が可能になってきている。そこで本研究では、E3、中でもCullin型E3およびTRIM型E3に対する基質を免疫沈降法および質量分析法の組み合わせにより分離・同定し、さらにはこれら酵素・基質関係により制御される生命現象を解明することを目的とする。まずDNAデータベースを利用しCullin型およびTRIM型E3の網羅的クローニングに取り組んでいる。そしてこれらE3と相互作用する因子の同定を進めている。先行研究よりCullin 型E3であるSSB4がシグナル伝達に、そしてZyg11Bが細胞死に関与していることを見出しており、これらの細胞生物学的解析を進めている。TRIM型E3に関しては、転写因子等の活性化制御に関与するTRIMタンパク質を生化学的手法により同定しており、細胞生物学的解析により細胞増殖や分化に関する新たな機能が判明してきており、現在はその詳細な解析を進めている。また、組織学的解析もしくは組織病理学的解析の結果、ある種のTRIMタンパク質の発現を調べることにより、がん診断のバイオマーカー的指標として役立つことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cullin型E3およびTRIM型E3の研究を進めている。DNAデータベースを利用しCullin型およびTRIM型E3のクローニングを行っており、一部のE3とは相互作用する因子の同定を進めている。先行研究に引き続き行っているCullin 型E3やTRIM型E3の細胞生物学的解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きCullin型およびTRIM型E3のクローニングを行い、これらE3と相互作用する因子を免疫沈降・質量分析や酵母two-hybrid法で同定し、生化学的手法を用いて酵素・基質関係を明らかにしていく。先行研究に引き続き行っているCullin 型E3やTRIM型E3の細胞生物学的解析も並行して進めていく。
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