計画研究
ユビキチン修飾系は、様々な生命現象に重要な働きを果たしている。中でも、基質特異性を決めるユビキチンリガーゼ(E3)の研究は、ユビキチン修飾系の中核をなす研究である。本研究では、E3、中でもCullin型E3およびTRIM型E3に対する基質を免疫沈降法および質量分析法の組み合わせにより分離・同定し、さらにはこれら酵素・基質関係により制御される生命現象を解明することを目的とした。DNAデータベースを利用しCullin型およびTRIM型E3の網羅的クローニングを行った。そしてこれらE3と相互作用する因子の同定を進めた。その結果、Cullin 型E3であるSSB4がシグナル伝達に、Zyg11Bが細胞死に、ASB12が細胞骨格に、ASB7が中心体複製に、さらにはPrameが転写に関与していることを見出した。TRIM型E3に関しては、転写因子等の活性化制御に関与するTRIMタンパク質を生化学的手法により同定しており、細胞生物学的解析により細胞増殖や分化に関する新たな機能が判明してきており、現在はその詳細な解析を進めた。TRIMファミリーの中でClass Vサブファミリーに属するRNF207の機能を解析したところ、そのノックダウン実験によりATP産生の低下及び還元型NAD量の減少が観察された。電子顕微鏡を使用した形態学的解析を行ったところ、RNF207の発現低下によりオートファジーの亢進が認められた。これらの原因を解明するためにメタボローム解析を行ったところ、糖代謝経路の解糖系とクエン酸回路の中間に位置するピルビン酸デヒドロゲナーゼの活性が低下していることが明らかとなった。今後は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼに対するRNF207の影響を分子レベルで解明することが重要と考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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